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誰も見ていないから 第5回
2016年7月8日

誰もみていないから ➄

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誰もみていないから ➄
<博多祇園山笠男絵図>―MATSURI―series
(鉛筆、油彩、キャンバス/27.3×16.0cm/2015年)ⒸShinji Ihara

毎年7月が近づいてくると、またこの季節がやってきたかと胸がざわつきはじめる。生まれ故郷・福岡の祭りを題材に2010年から取材・制作を行っている。700年以上続く伝統ある「博多祇園山笠」は、鎌倉時代に流行した疫病除去のために僧が街に祈祷水をまいたことが始まりとされている。毎年7月1日から15日に行われ、櫛田神社にまつられる素戔嗚尊に対して奉納される祇園祭のひとつで、博多どんたくとともに福岡を代表する祭りとなっている。

いつしか山笠にのめり込むようになり、今では毎年欠かさず見に行っているほどだが、福岡に住んでいた頃は一度も見に行ったことがなかった。それは実家から少し離れていたこともあったが、平日土日関係なく行われ、最終日にある「追い山」は電車もバスも走っていない早朝の午前4時59分から開始されるため、たまたま遭遇するといったことが少ない。見る側からすると親切ではない時間に思えるが、そこに行かなければ味わえない独特な空気感と興奮は、見る者を納得させる。

今年もまた、大太鼓の合図とともに水法被に締め込み姿の男たちが「オッショイ、オッショイ」とかけ声を響かせながら、まだ薄暗い博多の街へと駆け出していくのだ。
(いはら・しんじ氏=画家)
2016年7月8日 新聞掲載(第3147号)
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