大宅壮一のことば 「一億総白痴化」を予言した男 大宅壮一著・大宅映子編著|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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新刊
2017年3月17日

大宅壮一のことば 「一億総白痴化」を予言した男
大宅壮一著・大宅映子編著

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マスコミの帝王と言われた大宅壮一が亡くなったのは一九七〇年一一月二二日(三島由紀夫が自衛隊市ヶ谷駐屯地で割腹自殺をする三日前!)。没後四七年を経たいま、若い世代は大宅壮一の名前は知らなくとも彼の造った「一億総白痴化」「クチコミ」「恐妻家」といった言葉は耳にしたことがあるかもしれない。本書は、事件が起こる度に世間から「大宅壮一なら何というのか?」とその発言を注目されていた怪物評論家が残したコラムをセレクトしたもの。「一億総白痴化―巨大メディアを斬った男」「総裁選はデンスケ賭博―宰相たちを斬った男」「ジャリ革命―進歩的文化人を斬った男」「セコハン民主主義―昭和の虚構とタブーを斬った男」の四章からなり、政治や政治家、メディア・マスコミ、文学・作家に対して舌鋒鋭く切り込んでいく。その指摘は現代の問題へと繋がり、とても半世紀前の発言とは思えないものばかり。また各章の終わりに挿入される娘・大宅映子のコラムも父親の鋭さそのままに安倍政権に対する疑問などを提示する。ちなみに映子氏が父親から教わったことは「ひとつの情報だけを信じるな」であったそうだ。大宅壮一の言葉の数々は、いま一度「メディアリテラシー」について考えることを促している。(四六判・二二四頁・一二〇〇円・KADOKAWA)
2017年3月17日 新聞掲載(第3181号)
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大宅 壮一
大宅 壮一(おおやけそういち)評論家
大正・昭和期の評論家。明治33年9月13日生まれ。大阪府出身。早くから社会主義に傾き、そのため茨木(いばらき)中学校を中退。検定試験に合格して第三高等学校に入学。河上肇(はじめ)、賀川豊彦(とよひこ)らに私淑した。東京帝国大学社会学科へ進んだがこれも中退。そのころから文芸評論家として頭角を現す。1925年(大正14)新潮社の『社会問題講座』の編集にあたり、また、いわゆる「大宅翻訳工場」をつくるなど、ジャーナリズムの集団作業の先鞭(せんべん)をつけた。  1933年(昭和8)10月、検挙されてから転向。太平洋戦争中は軍の宣伝活動に協力したが、戦後は猿取哲(さるとるてつ)の筆名で匿名人物評論を書き、1950年(昭和25)ごろから本格的にジャーナリズム界へ復帰。「厳正中立、徹底した是々非々主義」の立場で軽妙多彩な社会評論を展開した。頭の回転の速さ、流行語(「一億総白痴化」「駅弁大学」「恐妻」など)づくりの才能、マスコミに対する深い理解力などで大宅に及ぶ者はなく、昭和30年代、文字どおり「マスコミの三冠王」として活躍した。晩年は「大宅マスコミ塾」を開くなど、後進の育成にも力を注いだ。おもな著書として『昭和怪物伝』(1955)、『共産主義のすすめ』(1961)、『炎は流れる』(1964)などがある。1965年菊池寛(きくちかん)賞受賞。昭和45年11月22日死去。彼の集めた週刊誌・雑誌を中心とした蔵書は、死後、「大宅文庫」(東京都世田谷区八幡山(はちまんやま))として公開されている。[高須正郎] 『『大宅壮一全集』全30巻・別巻1(1980~1982・蒼洋社)』(日本大百科全書(ニッポニカ)より)
この記事の中でご紹介した本