夢を追いかける起業家たち / サラ・ギルバート(西村書店)若者たちよ、創業者のような不屈の精神でやりたいことにチャレンジしよう|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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2017年3月24日

若者たちよ、創業者のような不屈の精神でやりたいことにチャレンジしよう

夢を追いかける起業家たち
著 者:サラ・ギルバート、アーロン・フリッシュ、ヴァレリー・ボッデン
出版社:西村書店
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ギルバート/フリッシュ/ボッデン著 原丈人日本語版監修、野沢佳織訳
夢を追いかける起業家たち
ディズニー、ナイキ、マクドナルド、アップル、グーグル、フェイスブック


本書には、私が関わった起業家や企業、またビジネスの経験の中でも、若い読者に伝えたいことがたくさん詰まっている。それと同時に私の青春時代そのものといってもいい。

特に、ディズニーは人生の恩人だ。1981年、私はシリコンバレーで光ファイバー表示装置技術を発明し会社を創業した。でも現実は厳しく、どんなに頑張っても1年以上ほとんど売れなかった。そんなときに、ディズニーは先端技術も恐れずに採用すると知り、ロサンゼルスまで車で突っ走った。「なぜこの事業をするのか? この製品は安全なのか?」と、質問を浴びせられ必死に相手の目を見て答えていると、こんな製品はつくれるかと聞かれた。できると答えると、もう一度来いという。2回目の面会では、会社の弱点を問われたので、「資金がないことです」と正直に答えた。何度もやりとりがあった後、なんと1000万円を超える注文をもらえた。

しかし、余りにも注文が大きすぎて材料が買えず、「手持ちの資金でまかなえる注文量に減らしてほしい」と頼んだ。前代未聞の依頼に驚いた副社長は、数時間後、小切手を持って現れた。「この小切手を現金化して持ち逃げしたらどうするのか?」と聞くと、「あなたは私を騙さない。早く仕事にかかりなさい」という返事があった。私はこのときビジネスの世界で初めて一人前として認められたことに感激した。

一方、マクドナルドの近年の動向からは大きな教訓が得られる。例えば、なぜ中国製の粗悪な材料を混入するなど、顧客の信用を失うようなことをしたのか不思議に思う読者もいるだろう。その理由は、米国で信じられている「会社は株主のものだ」という思想にある。食の安全性にまで手をつけてでも株主への利益を優先し、大きな利益配当金を出す。するとメディアももてはやすが、やがて大事故につながる。結果、顧客は離れ、株価は下がり、刷新された新しい経営陣の下で同じことが繰り返される。

21世紀は、この英米流の株主資本主義は通用せず、「公益資本主義」の時代が訪れるのだ。よりよい社会をつくるのが企業の役割であるという考えは、「企業は社会の公器である」と考える日本型の経営思想にある。会社を支えてくれる仲間は、社員、顧客、地域社会、仕入先、地球、そして投資家からなる。会社はこれらの仲間すべてに利益を還元し、社会全体をよりよい世界に変えていくことにその存在意義がある。

本書の読者が、起業家の発想や企業の成長過程を知ることによって、自身の周りに転がっているチャンスに気づいたり、何かをやろうという思いを馳せたり、また、21世紀の資本主義のあり方に興味を持っていただければ、これに勝る喜びはない。
この記事の中でご紹介した本
夢を追いかける起業家たち/西村書店
夢を追いかける起業家たち
著 者:サラ・ギルバート、アーロン・フリッシュ、ヴァレリー・ボッデン
出版社:西村書店
以下のオンライン書店でご購入できます
2017年3月24日 新聞掲載(第3182号)
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