アート オブ J. C. ライエンデッカー:The Art of J. C. LEYENDECKER / ローレンス・カトラー(マール社)イラストにファンレターが殺到した伝説のイラストレーター|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
読書人よ、集まれ!

トップページ

特集

書評

連載

コラム

ニュース

読書人とは

  1. 読書人トップ
  2. 書評
  3. アート オブ J. C. ライエンデッカー:The Art of J. C. LEYENDECKER / ローレンス・カトラー(マール社)イ・・・
ここを伝えたい!本の編集者より
2017年4月5日

イラストにファンレターが殺到した伝説のイラストレーター

アート オブ J. C. ライエンデッカー:The Art of J. C. LEYENDECKER
著 者:ローレンス・カトラー、ジュディ・ゴフマン・カトラー
出版社:マール社
このエントリーをはてなブックマークに追加
1900年代前半、アメリカン・イラストレーションの黄金時代に数多くの作品を描き、大人気イラストレーターであったJ. C. ライエンデッカーは、ハンサムな男性とグラマーな女性をスタイリッシュかつ印象的に描いたことで、大衆の心をグっとつかみました。「ライエンデッカー・ルック」とも言われる、見ればすぐわかるその絵柄は、アメリカという国の顔を作り上げるのに一役買い、そこから今も知られている数多くの図案が生まれ、広告におけるブランド性を創造することとなりました。

例えば、現在描かれている「赤い鼻と頬、白いヒゲ、ぽっちゃり体型で、白いもこもこがついた赤い服」というサンタクロースの原型を作ったのはライエンデッカーです。それまでは統一されたサンタのイメージがなく、ひょろひょろの妖精だったり、緑の服を着ていたり、バラバラの姿で描かれていました。また、「母の日に花を贈る」という習慣もライエンデッカーが始まりです。新しい祝日として制定された母の日用に、雑誌の表紙を依頼されたライエンデッカーは「ヒヤシンスを持つベルボーイ」の絵を描きました。ちょうどこの頃、ライエンデッカーは新居の庭を完成させ、庭にはきれいな花が咲いていたのです。そして、この一枚の絵から母の日に花を贈ることが恒例となっていきました。私たちは現代においてもあたり前のようにサンタの姿を想像し、母の日に花を贈っています。ライエンデッカーが描いたイラストは知らず知らずのうちに私たちの生活に根付いているのです。それにも関わらず、今に至るまで、そのアートの裏にいた本人についてはさほど知られていません。

ノーマン・ロックウェルに「雑誌表紙の匠」と呼ばれ、のちに私淑されることになるライエンデッカーが描いたイラストレーションは、あらゆる大手誌の表紙を飾りました。また広告においても、最先端の紳士服から、アイヴォリー石鹸やケロッグのコーンフレークに至るまで、幅広い商品の宣伝を支える作品を描いたのです。とはいえ最もよく知られているのは、おそらく「アロウ・カラーの男」のポートレートで、これは男性として最初のセックスシンボルとなり、両性から人気を集めた初めての広告スターにもなりました。この洗練された優雅な紳士のイメージが、それを見た何百万という人々の心を振るわせ、熱狂する社会に絢爛豪華なライフスタイルを売り込んだのです。ちょうどこの頃、アメリカは狂騒の20年代でした。フィッツジェラルドとも親交があり『華麗なるギャッツビー』のモデルとなったのもライエンデッカーだったのです。この「アロウ・カラーの男」の絵には、たくさんのファンレターが殺到したと言われています。しかしこの「アロウ・カラーの男」のモデルが、ライエンデッカーの長年の恋人、チャールズ・ビーチだったことを知る人はあまりいません。同性愛に対する世間の詮索から逃れるように、ライエンデッカーは自分の私生活を詳しく語りませんでした。
本書では、600枚以上の原画・写真・広告・雑誌の表紙とともに、今日まで残されていた多くの謎をしっかり解明し、ライエンデッカーの真実の姿をあぶり出しています。

この記事の中でご紹介した本
アート オブ J. C. ライエンデッカー:The Art of J. C. LEYENDECKER/マール社
アート オブ J. C. ライエンデッカー:The Art of J. C. LEYENDECKER
著 者:ローレンス・カトラー、ジュディ・ゴフマン・カトラー
出版社:マール社
以下のオンライン書店でご購入できます
このエントリーをはてなブックマークに追加
ここを伝えたい!本の編集者よりのその他の記事
ここを伝えたい!本の編集者よりをもっと見る >
芸術・娯楽 > 美術 > デザイン関連記事
デザインの関連記事をもっと見る >