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漢字点心
2017年4月11日

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春先は人事異動の季節。辞令を受けて新しい職場で働き始めた人も多いことだろう。

その「辞令」には、「命令」と同じようなイメージがある。しかし、「辞令」のもともとの意味は、「うまく人付き合いをするの上でのことばづかい」。「社交辞令」がその例だ。「職務を任命する文書」を指すのは、日本語独自の用法。人付き合いがそのまま職場の関係へと変化してしまったのは、日本社会の特質の現れなのだろうか。

一方、「辞」は広く「ことば」を意味する漢字だから、「辞令」の本来の意味から「辞」の意味を引き算すると、「令」に「うまく人付き合いをする上で」という意味合いがある、ということになる。なるほど、「巧言令色」の「令色」とは、「他人に取り入るような顔つき」。「令息」「令嬢」というようなことばだって、人付き合いの上で相手の家族をヨイショしているのだとも受け取れる。どうやら、「令」とは、一筋縄ではいかない漢字らしい。(えんまんじ・じろう氏=編集者・ライター)
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2017年4月7日 新聞掲載(第3184号)
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