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2017年4月11日

異色の力作、詩で綴る日記 山野このみ「自宅カフェ『森のバロック』」 力のこもった連載評論 北村隆志「西洋見物と雑種文化論」

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カワセミが二羽来て囀る 野川早春の朝  軽舟

最近、野川でカワセミをよく見かけるようになった。カワセミは小金井市の鳥に指定されている。

日本野鳥の会編纂の「おさんぽ鳥図鑑」によると、カワセミは長いくちばし、青い背中、オレンジ色のせなかが特徴だ。今までは稀れにしか見かけなかったのだが、嬉しいことに様子が変わってきた。

今年度のノーベル文学賞を受賞したミュージシャンで作詞家の『ボブ・ディラン語録』(ジョー横溝編著・セブン&アイ出版)をすこしずつ読んでいる。

短い明快なメッセージがある。

「俺がいままでつくって いた歌の多くは、

つくろうと思えば誰でもつくれるものだ。

ただ、誰もそれをつくることを思いつかずにいたから、俺が最初につくった」

今月は山野このみ「自宅カフェ『森のバロック』」(「創人&ほむら」合同刊3)が、詩で綴る日記形式になっている異色の力作。

「冬の到来について」

今週はじめに初雪が降りました。

次の日はけっこうな量の降雪があり

はじめての雪かきをしました。

寒くて 雪は湿って重かった。

やれやれ 冬に突入か……

一面の雪野原を見てもピンと来ません。

体も気持ちも まだ冬についていかないのです。

冬にご遠慮申し上げたいのですが

そうもいきません。

北村隆志「西洋見物と雑種文化論――加藤周一論ノート(3)」(「星灯」4号)は、力のこもった本格的な連載評論の三回目。

本号では最初に「西ヨーロッパでの五つの体験」について触れる。

加藤周一は、戦後、中村真一郎・福永武彦らとの共同の仕事『1946 文学的考察』で注目された。今後の展開を期待したい。

村上伸生「再び山頭火の句について」(「スクランブル」三十三号)は、翻訳をめぐる異色のエッセイ。

山頭火の代表作「分け入っても、分け入っても青い山」を英訳して送った。

One enters and enters

Just blue mountains

すると「何故 just が必要なのか」と問い合わせの手紙があった。これは「(禅の悟り)で答えることはできない」と書き送ったそうだ。かって一九七〇年六月に来日したアメリカの俳人John Hilbert Wills博士の依頼で、山頭火の句をすべて英訳した経験があるそうだ。他にも翻訳についての興味深い訳例、記述がある。

以前、松山の正岡子規記念館では、子規の俳句の翻訳がすすめられていると聞いたことがある。俳句や詩に英訳がつく、そんな国際化の時代になってきた。

今月も創刊号がある。「イングルヌック」創刊号、2号が同時発行になっている。新城理「みる君どんな顔をしてる」、猿川西瓜「俺ら」他。新しい感覚に今後を期待したい。

小説では竹野滴「麩菓子」(「麦笛」十六号)にひかれた。

この他、階堂徹「張り子の家」(「詩と真実」3月号)、かなれ佳織「ダブルステッチ」(「民主文学」4月号)、北条ゆり「茶柱」(「まくた」二九一号)、大西真紀「トキオコシ」(「文芸中部」一〇四号)、小島恒夫「わが家の犬たち」(「土曜文学」十一号)、高橋秀城「菩薩行」(「虚空」五十二号)、笹原美穂子「湖」(「コブタン」四十三号)にひかれた。
2017年4月7日 新聞掲載(第3184号)
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