田原総一朗の取材ノート「保守の劣化といわざるを得ない」|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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田原総一朗の取材ノート
2017年4月18日

保守の劣化といわざるを得ない

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かつては、私を含めて政治ジャーナリストのほとんどは、野党の動静には関心を示していなかった。自民党の主流派と反主流派、あるいは非主流派のすさまじい論争、というより確執を取材していたのである。自民党内の主流派、反主流派の論争は、与野党間の論争よりも、はるかにリアリティがあり、真剣勝負であった。

げんに自民党の総裁、つまり首相が代わるのは、野党の攻撃によってではなく、反主流派、非主流派との葛藤に敗れたためであった。

自民党では首相に対して自由に批判が出来て、政策の間違いを指摘出来て、その意味では、自由で民主的な政党であった。

だが、基本的には選挙制度が変わって、いまや、ととえば安倍首相に対する批判、政策の間違いを指摘する意見が、全く出なくなってしまった。反主流派、非主流派というものがなくなってしまったのである。

本来ならば、安保関連法、カジノ法、共謀罪などに対して、党内で活発で激しい論争が起きるべきなのだが、全く論争が起きなくなった。

あきれたのは、教育勅語を学校教材として活用することを決めたことである。

私は、小学校のときに教育勅語を暗記させられた。その核心は、「一旦緩急あれば義勇公に奉じ、以て天壌無窮の皇運を扶翼すべし」という部分だが、私が生まれる前から、日本は戦争の時代に突入していた。それは、いずれもパリ条約違反の侵略戦争であった。その戦争に、国民は命を懸けて戦え、というのである。ムチャクチャである。だからこそ、一九四八年に衆院でも参院でも、排除、失効となったのだ。

その教育勅語を幼稚園の園児たちに暗誦させ、中国人や韓国人はウソつきだと教えていた森友学園の籠池泰典などは、いってみれば歴史に無知な、レベルの低い保守、というより右翼だが、そんな籠池のやり方を、すばらしいと評価していた安倍首相夫妻は、どう捉えても大間違いであり、そんな安倍首相夫妻に何の批判も出来ない自民党は、保守の劣化といわざるを得ないだろう。

2017年4月14日 新聞掲載(第3185号)
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