【横尾 忠則】絵は寝てる間に完成するもの!夢は人類の遺産、時空を超えて夜を駆けめぐる~|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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日常の向こう側ぼくの内側
2017年4月18日

絵は寝てる間に完成するもの!夢は人類の遺産、時空を超えて夜を駆けめぐる~

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2017.4.3
 夢があるので生きていけるというのは幻想に生きることで、ロマン主義者の日常からの逃避を企てたがる精神の亡霊を招きかねない。

夕方、突然春雷が。冬の終りを告げる雷神のお出ましだ。
昨夜から始めた夕食後の絵画制作は時間切れ。

2017.4.4
 アメリカのサンディエゴ現代美術館でジャスパー・ジョーンズとの二人展の依頼。夢のような話はやっぱり夢だった。

「美美ちゃんがアナウンサーになるというけれど、どう思う?」と妻。女子アナか? 運命やと思って逆らったらアカン。これも夢や。

五時起床。昨夜の時間切れの絵のことだけれど、朝みると出来上っている。絵は寝ている間に自然に完成するもんらしい。

ポップアーティストのジェームズ・ローゼンクイスト死去。どんなエライ画家でも死ぬ時がきたら死ぬ。死は特別のことではない。自分の死だけが特別のことだと思うのは特別の差別や。

桜もソロソロ満開。野川に行くが大がかりな河川工事をやっている。そのまま放っとけばエエのに百匹もいた鯉も一匹もいない川にしてしまっている。
世田谷美術館で酒井忠康さん、塚田美紀さんと
2017.4.5
 世田谷美術館の「花森安治の仕事」展を学芸員の塚田美紀さんの案内で観る。戦後「暮しの手帖」があったけれど今もある。花森って人はその人自体がメディアで、ぼくの文化圏の外にいた人で興味はなかったけれど誰とも競争しない独立独歩の生き方には好感が持てた。趣味をそのまま社会化させ、戦後の主婦生活には大きい影響を与えた。様式があるのかないのかさっぱり解らない図案のような、またそうでなさそうなそんな絵を量産したマイペースで社会をジンワリと変えていった人かな。

昼は館長の酒井忠康さんと塚田さんと館内レストランで花見のお昼を。先々週本紙で書いた酒井さんに関する日記の記述に「写真家ネシャットのことを思い出しました。D・H・ロレンスの『エトルリアの遺跡』(美術出版社)の犬の話も似たようなあんばいで……」と酒井さん。夢は人類の遺産みたいなもので時空を超えていつも地球の夜を駆けめぐっているのかも知れない。

武蔵野美術大学のアーカイブを担当してくれている人達五人が現状報告に。大変なお仕事です。

今夜の夕食後の制作は「疲れた」ので臨時休業。

2017.4.6
 眠れる日と眠れない日とが交互にやってくる。このパターンは若い頃からのスタイル。眠れない日は永遠の眠りに憧れる。

47年前に「平凡パンチ」に発表した20人の裸婦像の写真が数100点出てきたので、以前から興味を持ってくれていた国書刊行会の清水さんに見せたところ「出しましょう」と言ってくれた。

50年前の1967年のニューヨークでの音楽体験を北中正和さんに聞かれる。今日は今は昔の話二題。

2017.4.7
 裏庭の三本の桜の巨木も一昨年を最後に空を覆う天蓋にも隙間が覗いて青空が見え始めたが、それでもまだ他を圧倒する。

美美の飼っている猫は電話が好きで、相手の声に反応して、ニャー、ニャーとうるさく鳴く。

ボストン美術館のジャッキーさん来訪。新任館長によって、進行していた展覧会を片っ端から拒否。このような状況が各地で起こっており、トランプのアメリカ・ファースト主義と無縁ではなさそうだ。

2017.4.8
 駿台予備校の全国模擬試験にぼくの『言葉を離れる』中の文章を東大レベル模試問題として出題したという事後報告を受ける。対象が東大であろうと自分の書いた文章だ――と思って挑戦してみるが、これが手に負えない。三問とも「よく解らん、トーダイ下暗しや」

2017.4.9
 スーツ着用のままエメラルド色の深い川を泳ぐ夢を見る。夢の中でもしっかり肉体感覚を体験。

アメリカのシリア攻撃で北朝鮮問題までもがキナ臭い雰囲気になってきた。『文化防衛論』を書いた三島さんは今頃益々俺が言った通りになってきたろう? と喜んでいるのが見える(怖)。

午前中に足もみ治療を受ける。揉んでもにぶい個所、痛い個所は両方共悪い。痛キモチいいのが正常。
2017年4月14日 新聞掲載(第3185号)
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