責任ある研究のための発表倫理を考える / (東北大学出版会)責任ある研究のための発表倫理を考える 東北大学高度教養教育・学生支援機構編|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」

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読書人紙面掲載 書評
2017年4月17日

責任ある研究のための発表倫理を考える
東北大学高度教養教育・学生支援機構編

責任ある研究のための発表倫理を考える
編 集:東北大学高度教養教育学生支援機構
出版社:東北大学出版会
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日本の大学でも、論文の無断盗用など、研究者による不正事件が日々生じていることが、新聞等で報道されるようになってきた。本書は、研究者の「発表倫理」に着目した一冊である。元となったのは、東北大学高度教養教育・学生支援機構で行なわれたセミナーで、ひとつは2014年6月と2015年6月に、吉村富美子・東北学院大学教授を講師として実施された「盗用と言われない英語論文の執筆」である。加えて、2016年7月に開かれた「発表倫理を考える」では、吉村氏に加えて、山崎茂明・愛知淑徳大学教授、大隅典子・東北大学大学院教授、羽田貴史・同大学教授が、多角的な視点から、この問題について発表を行なった。以上による議論が、主に本書の第Ⅰ部「研究倫理の動向と発表倫理」を構成している。第Ⅱ部「言語教育から見た盗用問題」は、2014年12月に開催されたパネルディスカッション(石井怜子・麗澤大学教員、鎌田美千子・宇都宮大学准教授、吉村富美子)が元になっている。

第3章を担当する大隅氏は、次のように述べる。「生命科学分野における研究不正について、そもそもどのような背景があるのか、そしてどのように対処すべきかについて考察する。研究不正の背景には、それぞれの学術分野に特有の問題と、領域を超えて共通の問題がある。研究不正を防ぐには、社会全体での対応も必須であるが、ここではとくに、論文不正を防ぐために大学教員として心得えておくべきことを中心に論じる」。背景については、具体例を挙げながら、7つに絞って説明がなされ、また予防策としては、(1)動機要因の低減、(2)機会要因の低減、(3)正当化要因の低減が必要であると説く。

論文不正は研究者になってから起こることではない。学生の時から、指導教官による指導が甘ければ、自ずと不正に対する意識が低くなってしまう。まずは、大学という組織そのものが、この問題に真摯に取り組まなければならないことを、本書は語っている。

A5判・170頁・2000円東北大学出版会978-4-86163-278-5TEL.022-214-2777
以下のオンライン書店でご購入できます
2017年4月14日 新聞掲載(第3185号)
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