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ともかくスケッチ 第43回
2016年7月15日

一触即発?!ゴールデン街

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ある日、ある時、ゴールデン街の一角でちょっとした諍いがあった。ちょっとしたと言うのは、この場所で、この程度のことは四六時中のものなのでそのように言ったのだが、他人様からすれば「どえらいことが起こっている」と早合点する人がいるかもしれないほどのことだ。店の名前は失念したが、ボクの席には黒田征太郎と浅葉克己、ほか数名のデザイナーグループがたわいもない世間話をしながらお酒を飲んでいた。隣りの席に目をやれば、原田芳雄、松田優作、桃井かおりに映画監督の黒木和雄の面々が真剣に話し込んでした。松田、桃井は未だ新人といってよいぐらいに若かった。どうやら黒木監督が原田芳雄さんと次回作を話しておられたようだ。

やおら我が席の黒田征太郎が机を叩きながら「最近の日本映画は面白(おもろ)ないなぁ」と隣りの席に聞こえよがしに叫び始めた。原田芳雄さんとは顔見知りの間柄だったので黒田としてもちょっとしたパフォーマンスのつもりだったと思うのだが、松田、桃井は真面目に受け止める立場だ。黒田と芳雄の関係など知ったこっちゃない。大柄の松田優作が思いあまって、すっくと立ち上がった。片手にビール瓶を持っていたかに思うが、ボクの錯覚かもしれない。店内一堂に「シーン」となってしまった…。さすが大人の対応だ、黒木監督がとんでもない発言をされた。「なら黒田さん、この映画のプロデュースをお願いしますよ」となった。上げた拳の落としどころに躊躇していた黒田は「やりましょう」と答えた。一件落着となるのだ。

後はこの界隈の決まり事となる。双方入り交じって和気あいあいの大飲み会となった。名作「竜馬暗殺」の誕生秘話である。
2016年7月15日 新聞掲載(第3148号)
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