ターザン山本(元『週刊プロレス』編集長・パピプペポ川柳創始師範)×レイザーラモンRG(お笑い芸人)対談 Vol.4 RG考・後編(全4回連載)|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」

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2017年4月28日

ターザン山本(元『週刊プロレス』編集長・パピプペポ川柳創始師範)×レイザーラモンRG(お笑い芸人)対談
Vol.4 RG考・後編(全4回連載)

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大好評の「パピプペポ川柳」特集第2弾。今回はパピプペポ川柳創始師範で、元『週刊プロレス』編集長・ターザン山本さんと、「あるある」芸で大人気のお笑い芸人・レイザーラモンRGさんの対談が3月15日(水)に実現! 日本語の可能性を広げたパピプペポ川柳と、一言で笑いを生み出すあるあるがどう混ざりあうのか。そして、自らの師と仰ぐターザン山本さんに対しRGさんは何を語るのか。パピプペポ川柳愛好家をはじめ、お笑いファン、プロレスファン必見のトークを「週刊読書人ウェブ」限定、短期集中連載!!


RGに影響を与えた男

山本
 RGさんも書籍をご執筆されるくらいだから、それなりに読書はするんでしょ。 影響を受けた本って何かありますか?
RG
 それはもう『週刊プロレス』と『紙のプロレス』ですよ。ターザン山本と山口日昇、両編集長がレイザーラモンRGという芸人の原点です(笑)。
山本
 僕じゃないですか(笑)。それじゃあ、僕のどの部分に影響されたか教えて下さいよ。
RG
 例えば山本さんに橋本真也を語らせると、他のメディアで使い古された「橋本あるある」とは異なるメッセージを僕ら読者にぶつけますよね。斬新なロジックなんだけど妙に説得力があるんですよ。異質で尖った解釈を活字化するんですから、高校生くらいの多感な時期に読んだら、もろに影響を受けちゃいますよね。
山本
 みんなが同じ俯瞰目線で語るだけだったら僕が取材する意味がないじゃないですか。横から斜めから試合を観て発信する捻れた情報が、RGさんのよう表現志向のある感性豊かな読者に新鮮な驚きを提供出来たんだ。
RG
 それに山本さんは興味あるものに対して物凄く早く反応する上、現場に急行してから活字にして紙面に載せるまでのプロセスが他の追随を許さない。そんな山本さんの恐るべきスピード感に触発された山口日昇さんが「ハッスル」というプロレスの新しい潮流を築いた。ハッスルの魅力って、何よりもニュース性に富んだメンバー構成でしたから。
山本
 当時大人気だったインリン・オブ・ジョイトイもいたし、狂言師の和泉元彌さんなんて意外な人も起用していたな。RGさんもコンビでリングに立っていたし、確かにハッスルは渦中の人に手を付けるのが早かったよね。
RG
 話題の人物をいち早くリングに上げたハッスルのDNAが僕の中にも息づいていて、今やっているモノマネレパートリーは、ドナルド・トランプ大統領や作家の羽田圭介さん、歌手の細川たかしさんなど、話題先行型の人が多く揃っています。ヘタしたら炎上するかもしれませんが、今のところネットでは好意的に受け止めてもらっていますよ。それも全てはターザン山本のありえないスピード感の賜物です。
山本
 RGさんも鉄の一番熱い瞬間を見極めて、火傷覚悟で手を突っ込んじゃうんだ(笑)。
RG
 山本さんは世の中がスター選手の興行で沸き返っているさなか、インディー団体の勃興に着目して、先んじて取材されたじゃないですか。それにK-1に目をつけるのも早くて、ブームの火付け役にすらなっていますよね。
山本
 いつでも先手必勝ですよ。誰かの後追いなんてつまらないことはしたくないじゃない。

教祖・ターザン山本

RG
 山本さんが書く記事ってピントが極端に集中するから、一番ホットなニュースだと素直に信じこまされちゃうんです。山本さんの情報をきっかけに、みちのくプロレスやJWFの会場にだって足を運びましたしね。
山本
 あそこまで偏った記事だと非難轟々だよ。かといって、バランスをとる気なんて一度もなかったけどね(笑)。
RG
 山本さんくらいの極端な偏向さがブームを作るんだと思います。たとえ記事に騙されたとしても、情報に踊らされている間は楽しくて仕方がないですし。『週刊プロレス』は最大40万人の読者がいたわけですから、日本中に僕と同じような山本さんに踊らされた人間が大勢いるんですよ。「アメトーーク!」プロデューサーの加地倫三さん、「水曜日のダウンタウン」演出家の藤井健太郎さんなど、今脂の乗っているテレビマンはじめ、僕を含めた多くのプロレス芸人たちは、みんな山本さんの活字プロレスの虜ですよ。
山本
 そうなの!? 
RG
 山本さんは毎週、僕らにプロレスという哲学を説いてきたんです。
山本
 『週刊プロレス』は哲学書だったんだ(笑)。
RG
 哲学というより、もはや宗教ですかね(笑)。僕らは教祖が出している経典を買い続け、教義を受容しました。そして各々が独自の解釈をし、個々に流派を設立させるに至った。僕は活字プロレスを源流に、あるあるを哲学し「万物にあるあるがある」説を確立しましたしね。そのあるある思想を体系的にまとめたものが拙著『人生はあるあるである』なんです。
山本
 教えを広めたなんて自覚、本人には全くないですけどね。
RG
 無自覚なのが恐ろしいですよね。山本さんは年間50冊も思想を流布させ、9年間も続けられた。プロレスを唯一神とするターザン山本教が浸透しきった結果、現在のメディアにおけるスタンダードな思考になっていますから。
山本
 弟子が自然に増殖して、教祖の教えを咀嚼しながら自己流の教義を広めてくところは、確かに宗教が誕生していく過程に近いかもしれないけどね。キリストやブッダにしたって自分の哲学を広める気なんてなかったんだからさ。
RG
 ですから山本さんは僕らにとってのキリスト、救世主です(笑)。
山本
 最後に磔になっちゃうんだ!
RG
 山本さん亡きあと、僕をはじめ多くの使徒たちが聖書『週刊プロレス』伝道していくでしょう(笑)。
山本
 みんなの人生をことごとく狂わしたんだから、僕も罪深い男だよね(笑)。
RG
 そして、僕らプロレスファンにとって1995年の「夢の架け橋」興行は教祖・ターザン山本がもたらした奇跡です。今でこそ団体間の交流は珍しくないですけれど、当時、不倶戴天の団体の仲を山本さんは取り持って、主要13団体を東京ドームに集結させたわけですから。興行が決まった時、僕もわざわざ京都から出向きましたよ。
山本
 1995年ってやけにざわついた年でさ、1月に阪神・淡路大震災、3月に地下鉄サリン事件があったんだよ。RGさんなんて、なおさら京都から東京に出てくるのは大変だったんじゃないですか?
RG
 それでも「夢の架け橋」公演という一大イベントを見逃すわけにはいかなかったです。あの年に東京ドームで観戦することが出来、心から勇気づけられましたよ。世の中がおかしくなっていた時に山本さんはプロレスのビッグマッチで世間を救おうとした。そしてプロレスに救われた人たちが山本イズムを継承し、自ら番組を作るポジションになり、「夢の架け橋」が実現された時のような黄金時代を取り戻すべく決起したのが先日の「プロレス総選挙」でした。あの番組は公言はされていないけれど、いわば山本さんへの恩返し番組なんですよ。
山本
 本人はつゆ知らずなんだから、のんきなもんですよ(笑)。
RG
 教祖が一度世を去り、復活して創始したのが「パピプペポ川柳教」です。だから我々はもっと『パピプペポ川柳傑作選 #0』を読まなければいけないんですけどね(笑)。

神は小ネタに宿る


山本
 パピプペポ川柳はさ、意味と価値なんて堅苦しいものから言葉を自由にしたかった。そんな思いつきで始めたんだよね。日本語を一瞬で感じて面白かったらそれで終り。そんな遊びが一番楽しいじゃない。落語家の故・立川談志さんは「落語とは、人間の業の肯定」と言ってさ、落語による人間の理性や社会的窮屈さからの解放を唱えた。その考え方と一緒なんですよ。あるあるだって言葉の意味と価値なんかに縛られたら面白くなくなるでしょ?
RG
 その通りです。お笑いにも同じことが言えて、以前はテクニカルで小難しい漫才が人気だったんですけれど、その揺り戻しか、今はその瞬間だけ面白いネタが人気なんですよ。
山本
 みんな頭を使うことに疲れ切っているんじゃないかな。だから、なおさら小ネタの笑いを求めている。「神は細部に宿る」って格言があるじゃない? 僕は今の時代にこそ「神は小ネタに宿る」と投げかけたいんだよ。
RG
 日本は八百万の神の国と言われていますが、小ネタの数だけ笑いの神さまがいるんですね。
山本
 RGさんはあるある、僕はパピプペポ川柳の五・七を素直に楽しんでいるだけ。純粋な小ネタだからこそ神様が宿るんですよ。
RG
 今のお話を聞いて、歌人の俵万智先生が僕のあるあるを「RGさんがやっていることは道端の小石一つひとつに名前をつける作業ですね」と評してくれたことを思い出しました。普通はそんな意味のないことをする人はいないのに、あなたはそれをやっていますと。
山本
 路傍の石にこそ、八百万の神が宿っているんですよ。
RG
 僕は名の知らぬ神様に名前を付けているんだ。
山本
 「神は細部に宿る」は、「弱者に神が宿る」とも言い換えることも出来ます。
RG
 なるほど。僕も小石みたいな存在ですもんね。そんな弱い僕を周りの人が見つけてくれたから、あるあるに辿り着いた。そして今、僕は道に転がる小さな石にあるあるという名前をつけて面白さを引き出している。弱者に神が宿るから敬う事が出来る。全てが巡り廻っているんですね。
山本
 あるある教に新しい哲学が誕生しましたね。
RG
 僕も山本さんも違う角度から、同じ小ネタの神さまを見つけることができた。人って、1つの事柄に真剣に向き合うからこそ、哲学・宗教的な尊さに気付けるんでしょうね。

言葉遊びの極地へ


山本
 僕らは最小限の言葉を駆使することで、1つ面白さを発見したじゃない。人間って小さいものに目を向けた時に初めて楽天的になれるんじゃないかな。大きな成果ばかり追い求めていたら、そのうちどん詰まりになって、悲観的になっちゃうよ。この事を僕は一番伝えていきたいんだよね。RGさんだって、あるあるという路傍の石に目を向けたからこそ、猪木さん流の逆転劇を果たしたわけだから。
RG
  HGがブレイクした時、僕が拗ねた挙句解散していたら、間違いなく足元の石に気づけなかったでしょうね。最初の小さい気付きが、こうして尊敬する山本さんと一対一でお話する機会になったと思います。あるある教の根底には「人生は今までの経験が伏線となり、必ず回収されると思って生きた方が楽しい」という信念があります。プロレスしかり、『ガロ』しかり、これまでの伏線が今日も1つ回収されました。
山本
 RGさんってよくよく活字脳の持ち主だよね。今日お話をしてそんな印象を受けましたよ。
RG
 山本さんの活字プロレスのおかげですよ。プロレスの試合を会場の臨場感も含めて文字に残し、きちんと読者に伝える高度な文章技術が僕の言語中枢に染み付いているんです。でも山本さんはそんな高等テクニックをあっさり捨て去って、パピプペポ川柳という小ネタの新境地に行ってしまった。
山本
 小難しさからの脱却は、僕にとっては必然の流れだよ。
RG
 僕はまだ活字プロレスに縛られていますね。ちょっといいあるあるを言って「RG面白い」と思われようとしている(笑)。
山本
 カッコつけたら自滅するよ。もっと刹那的に言葉を楽しまないと。
RG
 山本さんが活字プロレスから解脱した上で辿り着いた、言葉の意味と価値を排するパピプペポ川柳って、僕ら『週プロ』イズムの持ち主からしたらとてつもなく重いですよ。その場だけ楽しむことが出来る、いわゆるパーティーピーポーのような人たちが発する持続性のない言葉と違って、山本さんの言葉遊びは日本語を知り尽くしているから奥深いし、純度が高いです。僕のあるあるはまだ不純物が混じっているな(笑)。
山本
 まだ素直な気持ちで石に名前を付けることが出来ていないんだ。
RG
 お話ししながら考え方がリンクする部分もあったので、ようやく山本さんの背中に追いついた気になっていたんですけれど、僕の師匠、もとい教祖は全く予想外の方向に進んでいた。ただただ唖然としています。
山本
 次の目標が出来ました?
RG
 出来ましたね。実は子ども時代の願望が実現出来て、正直、これから目指す先がぼやけていたんですよ。でも『週プロ』から解離した山本さんと出会い、更に上に続く階段が今日はっきり見えました。僕の『人生はあるあるである』は未だ活字プロレスの域です。一刻も早くパピプペポ川柳という言葉遊びの極地を目指さなければならないですね(笑)。
山本
 RGさんならきっと、言葉の新しい楽しみ方を見つけますよ。

あるあるとパピプペポ川柳という2つの言葉ネタが織りなす日本語の楽しみ方、芸人レイザーラモンRGの半生や思いの丈を師ターザン山本にぶつけた赤裸々トークなど、4週に渡りお届けしたターザン山本さんとレイザーラモンRGさんのロング対談はお楽しみいただけましたでしょうか? 
今後もパピプペポ川柳を切り口にした、ターザン山本さんの対談企画を掲載していきますので、引き続きご期待ください!


【関連記事】
■ターザン山本×レイザーラモンRG対談 vol.1 あるある考・前編
■ターザン山本×レイザーラモンRG対談 vol.2 あるある考・後編
■ターザン山本×レイザーラモンRG対談 vol.3 RG考・全編
■『パピプペポ川柳傑作選 #0』刊行記念のターザン山本さん×サンキュータツオさん対談(2017年1月27日号掲載)

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