【横尾 忠則】老齢の母と嬉しそうなタマ 夢のない人生はユメがない|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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日常の向こう側ぼくの向こう側
2017年5月9日

老齢の母と嬉しそうなタマ 夢のない人生はユメがない

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横尾忠則HANGAJUNGLE
(町田市立国際版画美術館)
2017.4.23
 町田市立国際版画美術館の「HANGA JUNGLE」展が昨日初日を迎え、一〇〇〇人の入場者(通常六〇〇人)に美術館側は大満足の様子。今日は椹木野衣さんの講演を聴きに行くが耳が遠いので「ハンガ」と「カラバッジョ」と「ヨコオサン」の三つの言葉以外はさっぱり聴こえなかった。難聴の人のための手話の人がいたけれど手話を習っていないのでこっちも解らない。知人が何人か来ていたので皆んなでレストランへ。以前食べた薬膳カレーが美味しかったのでそれを食べる。ぜんざいもメニューにあるがこれはきっと僕の好物で用意してくれたんじゃないかな。

夕食後、タマの絵五作目に取りかかる。夕食後の絵の習慣は今後も続行したい。10時に就寝するので夕食と風呂の間に絵を描くと、その間無心になれるのでかえってよく眠れる。
2017.4.24
 もう完全に絶滅してしまったと思っていた庭のメダカが一匹生存しているのが判明。若いメダカを加えて子孫を増やそうと考えている。

坂本龍一さんが8年振りというオリジナルアルバム「async」を送ってくれる。渾身のアルバムというだけあって素晴しい。難聴を超えて聴こえるのはもしかしたら音響化してしまった僕の耳と同化した音響作品になっているせいかも知れない。難聴の耳が体験するこの不思議な音響を坂本さんに聴かせてあげたいと思うが無理な話で残念だ。

夕方、成城補聴器で耳の検査をしてもらうが以前に比べると悪くなっているので新しい補聴器を作るためにシリコンで耳の内部の形を取ってもらう。試聴用の補聴器を装着するだけで、やっぱりかなり違う。補聴器ができるまで試聴用のものを借りる。よく聴こえなかったテレビの音声が聴こえるようになった。

例の夕食後の絵を描く。タマの写実的な絵だが、アスリートが毎日練習するようなつもりで描いている。普段は写実的な絵は描かないが、初心者になったつもりで、こーいう基礎的な絵も描く習慣をつけないと、デフォルメができなくなる。
2017.4.25
 夕食後の絵の制作が頭を空っぽにしてくれるので、よく眠れる。勿論、風呂のせいもあるだろう。風呂で温まった躰が床に入った頃体温を下げてくれる。体温が下れば眠けも誘われる。さらに胸式呼吸と腹式呼吸を同時に行うと副交感神経が高まり、自律神経のバランスがとれる。

急に甘い物が食べたくなってコンビニであずき串だんごを買う。ついでに『文藝春秋』五月号を買う。夕方まで読む。
2017.4.26
 フランスのテレビで夢を特集するらしく、各国のアーティスト達の夢についての取材をしているという。僕は夢をよく見るが夢を見る人はそんなに多くないという。そーかなあ? 僕は昼の人生と夜の人生によって自己が形成されているように思うが。昼間の人生だけじゃ精神的バランスがとれないんじゃないかな。つまり潜在意識と顕在意識によって想像力が開花すると思うんだけれどね。つまり感性と理性のバランスが。夢のない人生なんてユメがないように僕は思うけど。

ディーゼルジャパンで版画を制作することになる。また「Wonderland」の巨大版画の赤バージョンと青バージョンをイタリアと日本の両者で所有するという発想も面白い。

夕方、朝日新聞の書評委員会に出席する。昨年はあまり書かなかったので、今年はせめて月に一本、できれば二本と思っているが読むのがしんどい。毎回仕出し屋の弁当が出るが今日はすき焼だったが昼もすき焼弁当だった。
2017.4.27
 昔の汽車の客車内をあちこち躰をぶっつけながら通路を歩いている。ふと老齢の母が座席に座っているのに気づく。その足元にはタマが眠っていたが、僕の姿を見て驚いたようだが凄く嬉しそうな顔をする。母もタマもどっちも死んでいるが、夢の中では生と死の中間にいるような感じだった。

福武財団の豊島横尾館の福武美津子さんと、宇野、斉藤さん来訪。豊島横尾館を紹介する本の企画と新しいポスターについてのミーティングを行う。初夏の頃、現地取材をすることになりそう。

西脇市岡之山美術館の好岡さんと山崎さんが来年の個展の依頼に。西脇をテーマにした新作展を計画。こーいう機会を利用すれば新作が増える。
2017年5月5日 新聞掲載(第3188号)
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