田原総一朗の取材ノート「憲法記念日のビデオメッセージ」|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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田原総一朗の取材ノート
2017年5月16日

憲法記念日のビデオメッセージ

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安倍晋三首相が、憲法発布七〇周年の記念日に、憲法改正を求める集会にビデオメッセージを寄せて「二〇二〇年に新しい憲法を施行したい」と明言した。

実は、去年の秋に、官邸で安倍首相と二人だけで話したことがある。たまには、田原氏の意見を聞きたい、といわれたからだ。

そのとき、私が、自民党は公明党を加えて、衆議院ではすでに三分の二議席を確保している。そして参議院も三分の二議席獲得した。いよいよ憲法改正に取り組みますかと、問うと、安倍首相は一寸間を置いて、「大きな声ではいえないけど」と声を落としていった。オフレコということである。だから、本当は、書いてはいけないことなのだが、今となっては書いてもよいだろう。

「実は、憲法改正をする必要がなくなったのです」

意外な話である。安倍首相は第一次安倍内閣のときから、一貫して憲法改正を主張しつづけて来たのである。

「それが、実は集団的自衛権の行使を決めるまでは、アメリカがやいのやいのと煩かった。ところが、行使を決めたら、何もいわなくなった。だから改正の必要はない。ただ日本の憲法学者の七割近くが、自衛隊は憲法違反だと主張しているので、憲法九条の三項に自衛隊を認めると書き込んではどうか、と考えています」

憲法記念日のビデオメッセージでは、「九条の一項、二項は残しながら、自衛隊の存在を明文化する」となっていて、去年の秋に私に話した通りの内容である。 二〇一二年の自民党の憲法草案は、九条一項、二項を大きく変えるとなっていたのだが、それは取り止めた。安倍首相は、私に正直に話したのだな、とあらためて思う。

ただし、問題はある。現在、憲法をどうするかについて、与野党が憲法審査会で審議している最中である。そんなときに、首相がいきなり「二〇二〇年に施行する」と期限をきめたり、九条の内容を具体的にいうのは、野党ばかりではなく、自民党の委員たちに対しても裏切り、ということになるのではないか。安倍首相は、そのことをどう捉えているのだろうか。

2017年5月12日 新聞掲載(第3189号)
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