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漢字点心
2017年5月23日

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「庭」というと、植木の一つでも植わっていないと、さまにならない気がする。しかし、漢字の「庭」は、本来はそういうものとは限らず、「建物の敷地内の平らな土地」を広く表す。

日本語の「にわ」も同様で、本来は、殺風景であっても一向にかまわない。その証拠に、「にわ」の昔の発音「には」が、「んは」に変化し、さらにつづまったのが「ば」だという。漢字で書けば「場」。つまり、「庭」と「場」はもともとは同じものを指すのだ。「大庭」「桜庭」といった固有名詞で「庭」を「ば」と読むのは、このためである。

日本資本主義の父、渋沢栄一の回想録『雨夜冒譚(あまよがたり)』を読んでいたら、「相庭」と書いて「そうば」とルビが振ってあるのに出会った。もちろん、現在では「相場」と書く、あの「そうば」のこと。お金のイメージしかないのに「庭」とは落ち着かない気もしたのだが、これも、昔ながらの「庭」の使い方を伝える一例なのである。

2017年5月19日 新聞掲載(第3190号)
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