連 載 映画/映画作家/映画批評 ジャン・ドゥーシェ氏に聞く(7)|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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ジャン・ドゥーシェ氏に聞く「映画/映画作家/映画批評」
2017年5月23日

連 載 映画/映画作家/映画批評 ジャン・ドゥーシェ氏に聞く(7)

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若かりし頃のドゥーシェ(中央)

HK
 どのようにして、のちにヌーヴェルヴァーグを形作ることになる友人たち、つまりトリュフォーやゴダールといった人々と出会ったのでしょうか。
JDK
 非常に簡単な話です。私たちはわざわざ出会ってなどいないのです。いつの間にか知り合っていたのです。私は非常に若くして映画というものに夢中になりました。そして18歳の時にはパリに住んでいました。ソルボンヌで哲学を学ぶ一方で、シャンゼリゼ通りの「オブジェクティフ49」というシネクラブに通っていました。そこにはアンドレ・バザンがおり、他の人々もいたのです。その時はまだ頻繁に顔を見合わせるだけのような関係でした。1949年には、ビアリッツであの有名な「呪われた映画祭」がありました。必然的に私もそこへと行きます。ヴィゴの作品があり、フォードもルノワールもあり、最高の映画祭でした。ロカルノやカンヌのような映画祭とは異なるものです。招待されたマレーネ・ディートリッヒやジェラール・フィリップのような俳優たちが来ることもなく、シュトロハイムやオーソン・ウェルズといった「呪われた映画作家」たちが来ることもなかったのです。映画祭は、彼らのような不当な評価をされていた作家のためにあったにもかかわらずです。このような招待された俳優や作家に代わって、バザンが観客との議論を企画し、皆で真剣に参加していたのです。しかし2年目からは、病に伏していたバザンが来ることもなく、前年の熱狂も失われ、見知った顔がビアリッツで会うだけの凡庸な映画祭となってしまいます。

トリュフォーやロメールと親交を持つことになったのも、1949年のこの映画祭がきっかけです。またその映画祭の場で、主催者のコクトーやバザン、アストリュック、カストといった「オブジェクティフ49」の年長のグループとも交流を持つようにもなりました。スイスに住んでおり、その年の秋にソルボンヌに登録することになるゴダールはまだ来ていません。ロメールと親交を持ったのは、この映画祭に向かう汽車がパリのリヨン駅を出た直後のことです。「オブジェクティフ49」で既に彼のことは知っていたので、私から話しかけたのです。パリからビアリッツに着くまで、汽車の廊下で一晩中、何を話したかは覚えていないのですが、話は尽きることがありませんでした。その時代には、ビアリッツに行くだけで8時間も9時間もかかったのですよ。そして10日間ほどの映画祭の後には、私たちは深い親交を持っていたのです。ロメールに至っては、ビアリッツの駅の近くの豪華なホテルに部屋を取っていたにもかかわらず、コクトーやバザンのようなすでに知られていた年長のグループと一緒にいるのではなく、わざわざ私たち無名の若いシネフィルが滞在していたビアリッツの高校の宿舎に寝泊まりすらしていました。トリュフォーと親しくなったのも、この宿舎を通じてのことです。そしてパリへはバザンの車で帰りました。アンドレ・バザン、その妻のジャニーン、トリュフォー、ドゥーシェ、そしてバザンの猫か犬が車の中にいました。

翌年の1950年には『ルヴュ・ドゥ・シネマ』が廃刊になり、ロメールが『ガゼット・ドゥ・シネマ』という小さな映画批評誌を作りました。私もその雑誌の中に書き始め、パリに着いたばかりだったゴダールも書き始め、リヴェットもそこに書き始めました。このようにして私たちは知り合ったのです。その後ちょっとした問題が発生して、私は北フランスの方へと出向かなくてはいけなくなります。家族の崩壊の危機です。家業を継いだ兄が経営の才能に恵まれておらず、その手助けが必要だったのです。それから5年ほどの間、彼らからは少し距離を置いた生活をすることになります。それでも週末は、パリへと出てきて映画館回りをしていました。そしてこの危機を乗り越え、私が再びパリへと生活を移した時には、彼らは皆『カイエ・デュ・シネマ』にいました。なので必然的に私もそこへ入ることになります。つまり、私はヌーヴェルヴァーグと後から名付けられたものを知ったというのではなく、むしろヌーヴェルヴァーグになる過程を知っていると言った方がいいですね(笑)。 <次号へつづく>
〔聞き手=久保宏樹/写真提供:シネマテーク・ブルゴーニュ〕

2017年5月19日 新聞掲載(第3190号)
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