幸福のパズル / 折原 みと(講談社)王道の恋愛小説|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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ここを伝えたい!本の編集者より
2017年5月25日

王道の恋愛小説

幸福のパズル
著 者:折原 みと
出版社:講談社
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幸福のパズル(折原 みと)講談社
幸福のパズル
折原 みと
講談社
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今の30~40代の女性のほとんどが、思春期に折原みと作品に夢中になった経験を持っている、と言っても過言ではないと思います。かくいう編集担当の私もその一人です。1985年に漫画家として、87年に小説家としてデビューした折原さんは、30年にわたって次々に話題作を生み出してきました。漫画と小説の両分野で活躍し続けている人は、なかなか他にはいないのではないでしょうか。91年刊行の小説『時の輝き』は110万部のベストセラーとなり、当時この作品に感動した女の子たちが、実際に何人も看護師になったそうです。

これまでは少女漫画やティーンズ小説を中心に書いてきた折原さんが、大人向けの直球ど真ん中の純愛小説として書き下ろしたのが本作です。地味な女の子みちるが、御曹司・イケメン・人格者と三拍子そろったヒーローの優斗と恋に落ちますが、すれ違い、事故、ストーカー、スキャンダル……と、困難に次々に襲われ、二人は何度も引き裂かれることに。しかも、高校生で小説家デビューしたみちるを支える編集者の龍一が、実はみちるに想いを寄せていることが分かり、切ない三角関係の行方が気になって、ページを捲る手が止まらなくなります。

四年前に前担当が折原さんに「最近めずらしい純愛モノで、しかも一人の女性が二人の男性から愛される物語を書いてみませんか?」と提案したのが企画の始まりでした。自分でもそういう物語を読んでみたい、と感じた折原さんは、昔の大映ドラマを意識してプロットを立てたそうです。次から次へと事件が起こるメロドラマですが、実はしっかり取材して書いているので、細かいリアリティの積み重ねに説得力があるんです。

折原さんはみちるや優斗が住んでいる設定の神奈川県の葉山に通い、地元の皆さんと交流しながら「役作り」をしました。登場人物に感情移入するあまり、絶望してスランプに陥るみちるにシンクロして、折原さんまで書けなくなってしまった時は焦りました! 龍一の実家が長野県の安曇野のりんご農家という設定で、みちるはそこに滞在して回復していくのですが、折原さんも取材のため実際に、安曇野のりんご農家(しかも奥様が折原さんの大ファン)で摘花や収穫の作業を手伝ううちに、すっかり家族ぐるみのお付き合いになったそうです。

本が出来上がる過程で驚いたのは、思春期に折原作品を読んで育った女の子たちが大人になり、日本全国の様々な分野で活躍していることです。画家、デザイナー、りんご農家、新聞記者、書店員……折原チルドレンたちは、困難に遭っても強い意思で乗り越える女性ヒロインたちの作品を読んで育ったせいか、皆さん輝いているんです。かつて折原みとに夢中になった人も、初めて折原みとに出会う人も惹きつける、最近なかった王道の恋愛小説。女性だけでなく、男性も号泣して読んで下さっているそうなので、皆さんぜひ読んでみて下さい。

この記事の中でご紹介した本
幸福のパズル/講談社
幸福のパズル
著 者:折原 みと
出版社:講談社
以下のオンライン書店でご購入できます
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