七々那ナナ「北九州でまっすぐ育つ」(2016) 寝ず勉でライバルたちに差をつけろ 進学校で大麻が流行る|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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現代短歌むしめがね
2017年6月6日

寝ず勉でライバルたちに差をつけろ 進学校で大麻が流行る
七々那ナナ「北九州でまっすぐ育つ」(2016)

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北九州市出身の作者が「※北九州あるあるです」の一文を添えてネット上で発表した連作のうちの一首。「**中学は無法地帯**」「**高校は平和**」「**20代・帰省**」の三つの小題に分かれており、掲出歌は「**高校は平和**」の中に入っている。

北九州市といえば「修羅の国」などと呼ばれて治安の悪さを散々いじられている街である(なんでもパンチパーマの発祥の地らしい)。そんな既存のイメージを逆手に取って、「北九州に育った女性が上京し、外から故郷を見つめるストーリー」として構成している。なお、「※このうち何首かは北九州のイメージから作成したフィクションです。」「※噂、都市伝説等も含まれています。」という追記もちゃんとあり、実際にこういう学生生活を送ったわけではないことは明記されている。

覚せい剤が流行したり、度胸試しで死ぬ奴が出たり、父親が撃たれ殺された奴がいたりという無法地帯の中学生活。進学校に入学して抜け出せたかと思いきや、そこでも流行している大麻。ただし使用用途は寝ず勉(寝ずに勉強)のためと、中途半端に真面目。こんな連作なのにタイトルが「まっすぐ育つ」であるという逆説がユーモアになっている。北九州でまっすぐ育つことは傍目から見ればねじれまくった育ち方である。

散文的であまり上手い歌には見えないが、わざと詩情のない詠み方を試みた結果だそうである。短歌はこういう世界観もカバーできる詩型なのだ。

2017年6月2日 新聞掲載(第3192号)
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