佐藤 信之著 通勤電車のはなし|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
読書人よ、集まれ!

トップページ

特集

書評

連載

コラム

ニュース

読書人とは

  1. 読書人トップ
  2. コラム
  3. 新刊
  4. 佐藤 信之著 通勤電車のはなし・・・
新刊
2017年6月6日

佐藤 信之著 通勤電車のはなし

このエントリーをはてなブックマークに追加
一九八〇年代、高校生の頃、代々木駅から渋谷駅を経由して、外苑前まで通学していた。山手線と銀座線の乗継である。現在とは比較にならないほど車内は「すし詰め」状態だった。本書を読むと、新線の建設、ダイヤの工夫、新型車両の導入等、いろんな形で方策が取られ、混雑率が改善されていることがわかる。


ある試算によると、通勤時間の「苦痛に耐える時間を有意義に利用すれば年間7兆円もの価値が生まれるといわれる」。そもそも「通勤電車」とはいつはじまったのか。その歴史を遡り、東京圏と大阪圏のネットワークの現状を詳細に調べ上げ、輸送改善、混雑率緩和の道を探る。


たとえば「複々線化」が思いつくが、そう簡単にはいかないらしい。本数を増やすことも同様に難しい。それによって乗客増は見込めない。鉄道会社の利益にはならないため、営利企業としてはそのような判断はできないのだという。


平成27年、首都圏で最悪の混雑率を記録しているのが、総武線緩行「錦糸町・両国」間で、199パーセントである。また中央線快速「中野・新宿」間は188%。著者は、具体的な数字を示しながら、様々な提言をする。ロンドンやパリなどの鉄道情況など、さらに詳しく読んでみたくなる一冊である。(新書判・300頁・900円・中央公論新社)

この記事の中でご紹介した本
通勤電車のはなし/中央公論新社
通勤電車のはなし
著 者:佐藤 信之
出版社:中央公論新社
以下のオンライン書店でご購入できます
2017年6月2日 新聞掲載(第3192号)
このエントリーをはてなブックマークに追加
新刊のその他の記事
新刊をもっと見る >
社会・政治 > 社会学 > 都市論関連記事
都市論の関連記事をもっと見る >