田原総一朗の取材ノート「「忖度」が流行語になっている」|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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田原総一朗の取材ノート
2017年6月13日

「忖度」が流行語になっている

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「忖度」という言葉が、時代を表わす流行語になっている。

たとえば、加計学園の獣医学部の新設について、文部科学省の前事務次官だった前川喜平氏は、記者会見などで、和泉洋人首相補佐官から呼び出されて、「文科省の対応を早くし
てほしい」という要請があり、「総理が自分の口から言えないから私が代わって言っている」といわれたと語っている。あるいは、加計学園理事で、当時内閣官房参与だった木曽功氏が、「(獣医学部)新設の手続きを早く進めてもらいたい。よろしく」といわれたとか。さらには、文科省の専門教育課の職員が、内閣府の藤原豊審議員から聞かされた、「二〇一八年四月開学を大前提に、逆算してスケジュールを作れ」という強い指示を記した、という資料も紹介した。

だが、和泉、木曽、藤原の三氏とも、そのことを否定し、文科大臣も、調査はしたが確かめられなかった、と答えている。そして、安倍首相も、加計学園の学部新設についてかかわったことは全くない、と否定している。

一体、実際はどうだったのか、さっぱりわからない。

例えば、小泉首相のときも、首相が各省庁の大臣を飛び越えて、「あれをせよ」、「これをせよ」と、直接指示したことが、少なからずあった。道路公団民営化、郵政民営化、そして北朝鮮に行く、と決意したときもである。だが、小泉首相は、いずれの場合も、自分がいったのだ、とはっきり語った。その点ではわかりやすかった。

私は、現在の政権と官僚たちの間で、忖度が行われていることは確かだと思う。

だが、どういう人物が、何ゆえに、誰に指示されて忖度しているのか、さっぱりわからない。だから、国民はどんどん欲求不満がつのっている。

政府側は、文科省から流出している、加計学園問題についての文書を、怪文書だと決めつけ、前川前事務次官の発言も、全く信用できない、といいきっている。それならば、前川氏を国会で証人喚問すべきである。本人は応じるといっているのだから……。(たはら・そういちろう=ドキュメンタリー作家)

2017年6月9日 新聞掲載(第3193号)
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