プリンス・チャーミングと呼ばれた王子たち プリンス同盟 / クリストファー・ヒーリー(ホーム社)クリストファー・ヒーリー著『プリンス・チャーミングと呼ばれた王子たち プリンス同盟』 大正大学 髙松 みゆう|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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【書評キャンパス】大学生がススメる本
2017年6月12日

クリストファー・ヒーリー著『プリンス・チャーミングと呼ばれた王子たち プリンス同盟』
大正大学 髙松 みゆう

プリンス・チャーミングと呼ばれた王子たち プリンス同盟
著 者:クリストファー・ヒーリー
出版社:ホーム社
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プリンス・チャーミング! これほどにも文字を見るだけ・聞くだけで乙女心が躍る言葉があるだろうか。言わずと知れたおとぎばなしの王子さま。別名、白馬の王子。ハンサム・優しい・お金持ち。この世の女子が求める三点セットを完璧におさえた理想の人を象徴する言葉。そんな「プリンス・チャーミング」が四人も登場するのが本書、『プリンス・チャーミングと呼ばれた王子たち』だ。タイトルに惹かれて手に取れば、王子とお姫さまがポップでキュートに描かれたパステルカラーの表紙が目に飛び込む。もう頭の中では可憐なワルツが流れはじめる。

開いてページをパラパラとめくってみる。まず目次。「プリンス・チャーミング、花嫁に出ていかれる」「プリンス・チャーミング、ファンを失う」。……ん?「プリンス・チャーミング、何が起きているのかわかってない」「プリンス・チャーミング、何が起きているのかまだわかってない」「プリンス・チャーミング、何が起きているのかいい加減わかってもいい」。

私の知っている王子さまじゃない!

なんと本書の王子たちは冒頭から人生のどん底に叩き落される。シンデレラの王子フレデリックはあまりの頼りなさから、シンデレラに旅に出られる。ラプンツェルの王子グスタフは、三秒で魔女に負けてしまった過去から笑い者にされ、強さを見せつけようとするが空回りする。白雪姫の王子ダンカンは不思議ちゃん。そして眠り姫の王子リーアムは勇敢な剣さばきで国を守ってきた英雄。しかし婚約者の眠り姫は魔女の呪いから逃れるために甘やかされて育った我儘な娘。リーアム持ち前の正義感から婚約破棄を求めると、眠り姫の策略により彼の名声は一瞬で地に落ちる。全員、自国を出るはめになる。

シンデレラを追いかけて、はじめて国外への冒険に出たフレデリックに合流していく王子たち。彼らは共通の悩みを抱えていた。それはプリンス・チャーミング・コンプレックス。宮廷詩人や吟遊詩人によって各国へニュースが歌い届けられる世の中。歌にはもちろん王子たちも登場する。しかし個々の名前ではなく、「プリンス・チャーミング」で一括り。人々は○○姫の王子という肩書でしか王子を知らない。それゆえ、王子たちは自分がプリンス・チャーミングと呼ばれることを快く思っていないのだ。

同じ悩みを持つ者同士、今度こそ世界中に名を馳せようと魔女や山賊に立ち向かう。しかし、個性がぶつかり合ってチームワークは最悪。それでも徐々に、自分の基準でしかものごとを考えられなかった王子たちが、仲間を尊重し歩み寄っていく。理想の人=プリンス・チャーミングの方程式は崩れ去るが、王子たちの人間らしさに親近感を覚え、魅了されていく。

最終的に王子たちは当初の目的を達成する。おとぎばなしのお約束、ハッピーエンドだ。しかし、彼らは最後にある行動に打って出る。名声よりも大切なもののための行動とは? 答えは、めでたしめでたしの先にある。

(石飛千尋訳)
以下のオンライン書店でご購入できます
2017年6月9日 新聞掲載(第3193号)
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この記事の中でご紹介した本
プリンス・チャーミングと呼ばれた王子たち プリンス同盟/ホーム社
プリンス・チャーミングと呼ばれた王子たち プリンス同盟
著 者:クリストファー・ヒーリー
出版社:ホーム社
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