DEATH(デス) ペディア イラスト図解 人はどこまで生きてられるのか? / 上野 正彦(宝島社)上野正彦・高木徹也監修『DEATHペディア イラスト図解 人はどこまで生きてられるのか?』 関西大学 福市 彩乃|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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【書評キャンパス】大学生がススメる本
2017年7月3日

上野正彦・高木徹也監修『DEATHペディア イラスト図解 人はどこまで生きてられるのか?』
関西大学 福市 彩乃

DEATH(デス) ペディア イラスト図解 人はどこまで生きてられるのか?
著 者:上野 正彦、高木 徹也
出版社:宝島社
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水は体にいいから飲めば飲むほどいいと思っている健康志向者。鼻炎気味だけど少しくらい大丈夫と思ってプールに向かう泳者。飛行機の中でトイレに行きたくなっては困るからと水分を控える旅行者。本書は、そんな人たちに待ったをかける。

読後、監修者の上野正彦の著書名ではないが、あなたは「ヒトは、こんなことで死んでしまうのか」と思うことだろう。この本では、人間はどこまでなら生きていられて、どのラインをこえたら死んでしまうかが、法医学の見地から述べられているのである。それも、例えば「強い電流」などというあいまいな表現ではなく、「○○アンペア」といった具体的な、統計に基づいた数値を用いているため、リアリティに富んでいる。

法医学の本と聞くと、頸部神経嚢や揮発性アミンなどという、見慣れない用語や物質名があふれてとても理解できないと思う人もいるかもしれない。しかし、本書は私たちにもわかりやすい言葉で説明されており、専門用語は易しく解説がなされたのちに使用されている。しかも全体的にイラスト図解で解説されており、読書嫌いの私でも一気読み出来たほどである。申し添えておくと、イラストは実にかわいらしい。それが死を考える上で重い気持ちを振り払ってくれるポジティブなものと受け取られるか、はたまた内容のおぞましさとミスマッチするネガティブなものと受け取られるかは読み手によって分かれるだろう。

内容はどのトピックもいきなり難しい話に入っていくことなく、まず基本事項や私たちの知っている事柄から始まり、徐々に新たな知識の付加とともに論理展開が進む。そして、どのトピックもたった一ページほどしかないにもかかわらず、一つのトピックを読み終わる頃には、首をかしげる余地もなく「なるほど、それで死ぬのだな」と納得してしまう。「なんだかんだ言っても、そう簡単に命を落とすことはないだろう」と思っていた私は、ヒトがいかにあっけなく死んでしまうかを知り、身震いしたものである。ヒトの限界についてのほかにも、一度は抱いたことがあるかもしれない死についての疑問を解説する章もある。中には風呂や飛行機といった、私たちの生活に関わってくる話題もあるので、知っておいて損はない。

一つのトピックが短い文章とイラストで構成されている上、あまり深くは踏み込んでいないため、ある視点から深く切り込んだ話や専門的な事柄を求めている人には物足りないかもしれない。しかし、様々な側面からヒトの限界を知りたい人や、法医学の入門書中の入門書を探している人にはぜひお勧めしたい。また、サスペンスドラマやミステリー小説好きの人が読めば、本書の知識がそれらの見方を変える助けになるかもしれない。あるいは――稀有なことかもしれないが――もしかしたら、あなたの命そのものを助けてくれることになるかもしれない。死の原因を学ぶということは、死を回避するすべを学ぶことにつながるからである。

この記事の中でご紹介した本
DEATH(デス) ペディア イラスト図解 人はどこまで生きてられるのか?/宝島社
DEATH(デス) ペディア イラスト図解 人はどこまで生きてられるのか?
著 者:上野 正彦、高木 徹也
出版社:宝島社
以下のオンライン書店でご購入できます
2017年6月30日 新聞掲載(第3196号)
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