カウボーイ・サマー 8000エイカーの仕事場で / 前田 将多(旅と思索社)カウボーイの仕事を通じて、「働くこと」を考える|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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2017年7月31日

カウボーイの仕事を通じて、「働くこと」を考える

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電通をやめて、ひと夏カウボーイしに行く」と知人たちに話すと、必ず同じ問いが返ってきた。
「カウボーイって今でもいるの?」

これだけアメリカの影響を色濃く受けているのにもかかわらず、多くの日本人にとってカウボーイとはそういう認識だろう。インディアンに関する本ならジャンルを越えて数多くあるのに、カウボーイに関する一般書は日本にはほとんどない。『カウボーイの米国史』(鶴谷壽著、朝日選書・一九八九年)は歴史についてとても詳しく紹介していて参考になるが、現代カウボーイのことはわからない。あとは青少年向けのムックが何冊かある。が、やはり現代のことはわからない。

私は、青春時代よりカントリーミュージックに親しみ、カウボーイに憧れを持ってきた。その憧れは常に、疑問と隣り合わせであった。
「牛を育てるおっさんが、どうしてアメリカン・ヒーローとして音楽や映画に描かれるのだ?」

端的に言えば、カウボーイとは畜産業従事者だ。日本では、松阪牛や神戸牛は牛肉のスター選手だろうが、育てている人たちがカウボーイほどに、国民的アイコンとして扱われてきたとは言い難い。

拙著『カウボーイ・サマー 8000エイカーの仕事場で』は、現代のカウボーイの仕事と生活を通じて、その歴史や文化を概観しながら、そういった疑問に答える本だ。

齢四〇が見えてきた、当時電通コピーライターであった私が、「人生が半分終わってしまったのに、結局カウボーイを知ることがないまま人生終わっていいの?」と、一念発起してひと夏、牧場に住み込みで働きながら取材したものだ。

滞在した先はカナダであったが、カウボーイ文化はメキシコ、アメリカ、カナダの北米全体、そしてオーストラリアにまで広く共有されている。

著者として、この本を書くにあたり留意した点はひとつ。
「読んでおもしろいこと」

私自身が、文字通り泣いたり笑ったり、おもしろい経験をさせてもらったし、私は広告コピーライター出身であるから、正しいだけでは人は興味を持ってくれないことを教えられてきた。

カナダで出会ったジェイク、ハーブ、ケヴィンという三人のカウボーイたちは、確かに、私の心の中でヒーローとなった。

そのヒーローたちと、ド素人の私が、馬に乗ったり、牛と格闘したり、様々な見慣れないマシーンを使って働いた、ひと夏のルポルタージュ。カウボーイを知ると、きっと北米の歴史、文化、人間が、よりくっきりと見えてくる。

この記事の中でご紹介した本
カウボーイ・サマー 8000エイカーの仕事場で/旅と思索社
カウボーイ・サマー 8000エイカーの仕事場で
著 者:前田 将多
出版社:旅と思索社
以下のオンライン書店でご購入できます
2017年7月28日 新聞掲載(第3200号)
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