真夏の文庫 大特集人生は楽しい方がいい――さあ、本を読むのは今だ。 森まゆみさんが文庫を買う(神田神保町/東京堂書店にて)|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」

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読書人紙面掲載 特集
2017年8月3日

真夏の文庫 大特集人生は楽しい方がいい――さあ、本を読むのは今だ。
森まゆみさんが文庫を買う(神田神保町/東京堂書店にて)

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夏です! 今年も猛暑、酷暑の季節が到来しました。

そんな時期に毎年お届けしている年に一度の「文庫特集号」。
出版社十五社のご協力のもと、各社イチオシの文庫本を、「読者へのメッセージ」「わが社のロングセラー」「新刊・近刊ピックアップ」「売れ行き好調の10点」としてご紹介します。
ノンフィクション作家、エッセイストの森まゆみさんが書店で文庫を買います。
森さんが店頭で興味を持った23冊を紹介します。
もう一度読みたいあの文庫、読みそびれていたこの文庫、新たに手に取りたい文庫がきっと見つかりますよ。(編集部)


夏の文庫大特集、今年の「文庫を買う」は森まゆみさんにご登場いただいた。
地域雑誌「谷中・根津・千駄木」(二〇〇九年終刊)の編集人として活動する傍ら、ノンフィクション作家、エッセイストとして多数の著書を刊行し、さらには古い町並みや建物を保存する市民運動にも参加してきた森さん。
二〇一七年に入って『暗い時代の人々』(亜紀書房)、『子規の音』(新潮社)、『東京老舗ごはん』(ポプラ文庫)、『楽しい縮小社会』(筑摩書房)、『青鞜の冒険』(集英社文庫)を上梓。
多方面で活躍する森さんに、神田神保町の東京堂書店で選書をお願いした。
森まゆみさんが選んだ文庫23点

▽山本周五郎『山本周五郎戦中日記』(ハルキ文庫)
▽田山花袋『東京震災記』(河出文庫)
▽梯久美子『昭和二十年夏、女たちの戦争』(角川文庫)
▽中島京子『小さいおうち』(文春文庫)
▽竹田篤司『物語「京都学派」知識人たちの友情と葛藤』(中公文庫)
▽辰野隆『フランス革命夜話』(中公文庫)
▽吉田健一『酒肴酒』(光文社文庫)
▽河合隼雄『明恵夢を生きる』(講談社+α文庫)
▽スベトラーナ・アレクシエービッチ『チェルノブイリの祈り未来の物語』(松本妙子訳・岩波現代文庫)
▽中島義道『うるさい日本の私』(角川文庫)
▽和田茂樹編『漱石・子規往復書簡集』(岩波文庫)
▽野地秩嘉『キャンティ物語』(幻冬舎文庫)
▽椎名誠『新橋烏森口青春篇』(小学館文庫)
▽堀川惠子『永山則夫封印された鑑定記録』(講談社文庫)
▽角幡唯介『空白の五マイルチベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む』(集英社文庫)
▽湯川豊『須賀敦子を読む』(集英社文庫)
▽西川美和『永い言い訳』(文春文庫)
▽井上理津子『さいごの色街飛田』(新潮文庫)
▽川口葉子『京都カフェ散歩喫茶都市をめぐる』(祥伝社黄金文庫)
▽ダフネ・デュ・モーリア『鳥デュ・モーリア傑作集』 (務台夏子訳・創元推理文庫)
▽三浦しをん『神去なあなあ日常』(徳間文庫)
▽角田光代『森に眠る魚』(双葉文庫)
▽岩川隆『日本の地下人脈戦後をつくった陰の男たち』(祥伝社文庫)
一日に二冊、三冊は当たり前、夢中で文庫を読んだことも

●山本周五郎『山本周五郎戦中日記』(760円・ハルキ文庫)

山本周五郎は『青べか物語』や『五瓣の椿』といった作品を高校生の頃に読んでいました。
でも戦中日記があることは知りませんでした。
山本周五郎が終戦までをどのような気持ちで過ごしたかに興味がわいて読みたいと思いました。
巻末の関川夏央さんの解説によると、周五郎には「曲軒」、つまりへそ曲がりというあだ名があるそうですね。
戦争に協力したという話も聞いたことがないですし、戦争の表で働かなかった人ですよね。
たしか二番目の奥さんのきんは本郷の錺職人の娘です。
そのお兄さんが共産党員一斉検挙の時に捕まったというから、周五郎の中にも反権力的な考え方があったんじゃないかな。
現在のような時期に文化人がどう動くかは大きな問題だから気になります。

●田山花袋『東京震災記』(570円・河出文庫)

東京震災記(田山 花袋)河出書房新社
東京震災記
田山 花袋
河出書房新社
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田山花袋は本当に気の毒な人ですよ。
私は花袋の『東京の三十年』(岩波書店)を繰り返し読んでいます。
関東大震災については宮武外骨や芥川龍之介の記録もありますが、花袋は随分詳しく書いているようですね。
この人は町をよく歩く人だから。
館林の生まれで田舎から出てきて、九歳くらいで丁稚小僧になって、学校で勉強している子たちを見て羨ましがっていた。
それで後に硯友社に入って、『蒲団』で自然主義の旗手になっていく。
震災が東京で起きたら、これを書き留めておかなければと思ったでしょうね。
私も『震災日録 記憶を記録する』(岩波新書)を出しましたから気持ちはわかります。
周五郎の『戦中日記』と合わせて戦災と震災をきちんと具体的に知りたいと思います。

●梯久美子『昭和二十年夏、女たちの戦争』(590円・角川文庫)

これには伯母(近藤富枝)が出ています。
梯さんが話を聞きに来てくれた、と喜んでいました。
だけどまだ読んでいなかった。
去年亡くなった伯母は『本郷菊富士ホテル 文壇資料』や『田端文士村 文壇資料』『馬込文学地図 文壇資料』と文学と地理をつなげたいい仕事をしました。
夫である伯父は防衛庁の戦史室にいて、「うちの旦那はどこで死んだのでしょうか」といった問い合せに答えていたそうです。
その頃のことを私は伯母からあまり聞かなかった。
他にも吉沢久子さんや緒方貞子さんの話も興味があります。
最後の二等兵がすでに九十を超えた今、具体的な戦争の証言はそろそろ聞けないでしょう。
空襲はどうだったのか、配給はどうだったのか細かいことは分かりにくいですからね。

●中島京子『小さいおうち』(580円・文春文庫)

小さいおうち(中島 京子)文藝春秋
小さいおうち
中島 京子
文藝春秋
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この本は読み逃していて映画も見逃しています。
中島さんの作品では凛々しい女城主が主人公の『かたづの!』を読んでとても面白かった。
遡って中島さんの本を読んでみようと思っています。
中島さんの作品はさわやかで後味がいいんです。
『小さいおうち』は戦争の時代、女中さんの立場から見た奉公先の家の話ということで楽しみです。
昔は東京のしかるべきお家で女中さんを務めるとそれがステイタスになって良いお家にお嫁に行けました。
私の長屋の家にも昭和三十年代は女中さんがいましたよ。
その人は社長夫人になっていまや豪邸に住んでいるらしい(笑)。

●竹田篤司『物語「京都学派」 知識人たちの友情と葛藤』(914円・中公文庫)

中公文庫は近代の歴史、日記や書簡をたくさん出していて渋くて好みです。
私の近著『暗い時代の人々』には京都学派の人が出てきます。
京都大学には田邊元と西田幾多郎がいたので、東京の旧制第一高等学校から京大に行った戸坂潤のような人も結構いたそうです。
京都学派の人たちは面白くて、この本で彼らが狭い京都でどのように切磋琢磨していたのかがわかると思います。
「知識人たちの友情と葛藤」というサブタイトルなのも読んでみたいと思いました。

●辰野隆『フランス革命夜話』(740円・中公文庫)

フランス革命夜話(辰野 隆)中央公論新社
フランス革命夜話
辰野 隆
中央公論新社
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私は赤レンガの東京駅の保存に関わったことがあります。
その東京駅の建築を手がけた辰野金吾の長男が辰野隆です。
先日、彼が書いた「浜尾新先生」というエッセイを読んでとてもいい文章でした。
名エッセイストとして有名なのでちゃんと読みたいと思っていました。
建築家の二代目は建築家になる人が多いけれど、なぜか彼はフランス文学者になった。
反対に仏文の鈴木信太郎の息子さんは建築史の鈴木正文ですね。
東大の仏文は今に至るまで錚々たる人が出ているでしょう。
辰野隆は小林秀雄や三好達治の先生だけに、さすがに文章がうまいですね。

●吉田健一『酒肴酒』(720円・光文社文庫)

酒肴酒(吉田 健一)光文社
酒肴酒
吉田 健一
光文社
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その流れで名エッセイを読もうと思って手にしたのがこれです。
この文庫は装幀もきれいですね。
吉田健一さんは面白いですよね。
吉田茂の息子だけれど政治の方にはいかなかった。
普通ならボンボンの二世議員になりそうなのに(笑)。
神保町のビアホール、ランチョンにもよく通っていて一杯飲んでから授業に行ったと聞いたことがあります。
偉い人の息子なのに、ちょっと不良っぽいところがいいじゃないですか。

●河合隼雄『明恵 夢を生きる』(940円・講談社+α文庫)

明恵 夢を生きる(河合 隼雄)講談社
明恵 夢を生きる
河合 隼雄
講談社
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これは前から読みたかったんです。
明恵は夢を記述した人です。
外国を研究した人は最後に日本に回帰して親鸞や一遍について書くでしょう。
それで河合さんは明恵を書いたのかと思ったら、河合さんはユング心理学の人ですものね。
その流れで明恵を書いたんでしょう。
私は文化庁の文化審議委員をしていたので毎月、会議で河合さんとご一緒でした。
冗談ばかり言う楽しい方でしたよ。

●スベトラーナ・アレクシエービッチ『チェルノブイリの祈り 未来の物語』(松本妙子訳・1040円・岩波現代文庫)

彼女を最初に紹介してくれた人に「森さんがやっているようなことをやっている人だ」と言われました。
アレクシエービッチがノーベル文学賞をとったことは、ずっと愛読してきた私にとってはうれしい出来事でした。
アレクシエービッチは非常に厳しい所に身を置いて、捕まったりしながらチェルノブイリのことやソ連軍の暴力について発言をしている。
この文庫は十二刷りになっていますよ。
文庫版の初刷りが二〇一一年六月十六日のフクシマ原発事故後ですから、それがこんなに読まれている。
NHKが彼女の優れたドキュメンタリーを撮っていて、それは見ました。
取材が上手いと思いましたね。
見た感じは普通のおばさんなんだけど(笑)。

●中島義道『うるさい日本の私』(760円・角川文庫)

うるさい日本の私(中島 義道)角川書店
うるさい日本の私
中島 義道
角川書店
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この本には、ごめんなさいという気持ちがいっぱいです。
というのも一九九六年に単行本が出た時に、ちょっと上から目線が気になって批判的な書評を書きました。
海外にいた人が日本に帰ってくると街中に案内や呼びかけが多くて気になりますよね。
当時は細かい部分に反発しましたけれど、二〇〇七年に私は病気になり、今は耳鳴りとめまいと頭痛があります。
空調の音さえも騒音に聞こえる状況の中でアナウンスやBGMがあると本当にうるさい。
日本の交通機関は言わなくてもいいことまでアナウンスするでしょう。
今は中島さんと一緒に闘いたいと思っています(笑)。

●和田茂樹編『漱石・子規往復書簡集』(940円・岩波文庫)

漱石・子規往復書簡集(和田 茂樹)岩波書店
漱石・子規往復書簡集
和田 茂樹
岩波書店
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先日『子規の音』(新潮社)を出しましたが、漱石と子規の友情については他の方が書き尽くしているから今回はあえて書きませんでした。
漱石は子規にとって本当にいい友だと思います。
奥さんや子どもにはあんなに酷い男なのに、どうして友達にはこんなに優しいのか。
子規が喀血した時も山崎元修(医師)に子規の容態をたずねて、子規に送った手紙が文庫の最初に出ています。
「帰ろふと泣かずに笑へ時鳥(ほととぎす)」と励ましたりしています。
『夏目漱石全集』と『正岡子規全集』の両方を読めば載っているけれど、二人のやり取りだけを知りたい場合にこの本は非常に便利ですね。

●野地秩嘉『キャンティ物語』(495円・幻冬舎文庫)

キャンティ物語(野地 秩嘉)幻冬舎
キャンティ物語
野地 秩嘉
幻冬舎
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キャンティは一世を風靡した戦後のイタリアレストランです。
私はまだ行ったことがないのだけど。
『子規の音』を書いてから、高浜虚子、虚子の息子の池内友次郎(作曲家)につながって、その友次郎が恋をしていたピアニストの原智恵子の伝記『原智恵子 伝説のピアニスト』(石川康子著、ベストセラーズ)を読んで面白かったんです。
Youtubeでも彼女の演奏は聴くことができます。
とても良いですよ。
その原智恵子が最初の結婚をした相手がキャンティ創業者の川添浩史でした。
のちに二人は離婚しますけどね。
それぞれ別のパートナーを見つけて、子供達にしわ寄せがいく。
川添浩史は後藤象二郎の孫です。
それが関係するのかわかりませんが、キャンティは戦後の日本のセレブが集まったお店です。
それがどんなところだったのか知りたいと思いました。

●椎名誠『新橋烏森口青春篇』(610円・小学館文庫)

新橋烏森口青春篇(野地 秩嘉)小学館
新橋烏森口青春篇
野地 秩嘉
小学館
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椎名さんの作品は大好きでほとんど読んできました。
これも昔読みました。
私が大学にいた頃に「本の雑誌」が花盛りでずっと買っていました。
「谷根千」を始めた時も椎名さんに送ったら、よく読めない字で励ましのお便りをいただきました(笑)。
達筆なんでしょう。
根津にあった爬虫類研究所の高田さんという方が椎名さんの元上司で、この本に出ているそうなので、読みたいと思いました。
私の知っている高田さんは、街の中で蛇を首に巻いて歩いているような不思議な人だったんですよ。

●堀川惠子『永山則夫 封印された鑑定記録』(860円・講談社文庫)

永山則夫は「連続射殺犯」と言われますが、非常に不幸で複雑な生い立ちを持っている人で、そんな犯罪をするまでに追い詰められていった。
以前、堀川さんの作られたドキュメンタリーを見たので本も読みたいと思いました。
この本も読み応えのある本だと思います。
元々は岩波書店から出たものが講談社文庫に入っているようですが、講談社はノンフィクションを応援してくれる数少ない出版社なので頑張って欲しいです。

●角幡唯介『空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む』(600円・集英社文庫)

角幡さんの本は読んだことがないんです。
でも気になります。
夏だから冒険ものを読んでみたいような気分です。
彼は普通の人ができない体験をノンフィクションに書いている。
チベットに興味があって前から読みたいと思っていた一冊です。
これを読んだら角幡さんの他の作品も読むかもしれない。

●湯川豊『須賀敦子を読む』(500円・集英社文庫)

須賀敦子を読む(湯川 豊)集英社
須賀敦子を読む
湯川 豊
集英社
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私はイタリア文学者の須賀敦子さんと毎日新聞の書評委員会で出会い、、母と同い年ですが、とても大きなものを受け取りました。
本当に特別な、ユニークな方で、辛辣にして言葉が際立っていました。
亡くなって以降は須賀さん関連の本を読むのが辛かったんです。
これが単行本で出た時には買えませんでした。
今になったら読めるかなと思っていますけれど。
こわごわ読んでみます。

●西川美和『永い言い訳』(650円・文春文庫)

永い言い訳(西川 美和)文藝春秋
永い言い訳
西川 美和
文藝春秋
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西川さんは本当に優れた映像作家です。
先日、映画は見ました。
すると映画が大好きな谷根千のスタッフが「映画もよかったけれど本の方がもっとよかった」と言うので(笑)。
友人に勧められて読んでみたい一冊ということになるかな。
昔は本木雅弘が演じていたような作家がいたかもしれませんが、今はあんな傲慢な感じの作家はさすがにいないでしょうね。
映画に出てくるような編集者もいないと思うけど。
デフォルメされているのが面白い。

●井上理津子『さいごの色街 飛田』(710円・新潮文庫)

さいごの色街 飛田(井上 理津子)新潮社
さいごの色街 飛田
井上 理津子
新潮社
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井上さんとは面識がないのですが、「大阪人」という雑誌で「大阪不案内」を連載している同時期に書いていたので、同志みたいな感じです。
これは大阪の飛田遊郭について本当にいろんなことがわかる本です。
これだけ調べていたら大宅賞とか取るのではないかと私は思っていたけれど。
それに値する本だと思います。

●川口葉子『京都カフェ散歩 喫茶都市をめぐる』(762円・祥伝社黄金文庫)

最近の流行りの装丁で、まったりというのか可愛いというのか、私の年代だとちょっとついて行き難いところがありますが、今の若い人たちがどんな場所に興味を持つのか知るにはいいですね。
私が喫茶店に行くのは時間潰しで、ふと時間が空いた時にボーッとするのが好きです。
今は京都に行くことが多いから、便利かもしれない。
先程話した京都学派の人たちが集まった「フランソア喫茶室」や私の好きな「築地」も「イノダコーヒ本店」や「進々堂」も載っています。

●ダフネ・デュ・モーリア『鳥 デュ・モーリア傑作集』(務台夏子訳・一〇〇〇円・創元推理文庫)

昔はデュ・モーリアの『レベッカ』が大好きで何度も読んでいたので懐かしくて買いました。
デュ・モーリアは寡作なのかと思っていたけれどこの本は知りませんでした。
最近はあまり読んでないんですが当時はイギリスの暗い小説が好きでしたね。
ブロンテ姉妹のジェーンエアや嵐が丘、アガサ・クリスティやコナン・ドイルもだいたい読んでしまいました。
この『鳥』はヒッチコックの映画の原作なんですね。
映画は見たことがあるけれど読んだことないんです。

●三浦しをん『神去なあなあ日常』(619円・徳間文庫)

神去なあなあ日常(三浦 しをん)徳間書店
神去なあなあ日常
三浦 しをん
徳間書店
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林業は木を切っても儲からないのでどんどん山が荒れていると言われますが、むしろこれからは外国から材木が入らなくなるので、未来のある仕事ではないかと思います。
私がドイツに環境問題を勉強しに行った時に、一緒に行った高校生の男の子が持ってきていました。
彼は林業をやりたいそうで、色々と話を聞いているうちに読みたくなりました。
四、五年前くらいから思っていてやっと今日手にとりました。

●角田光代『森に眠る魚』(686円・双葉文庫)

森に眠る魚(角田 光代)双葉社
森に眠る魚
角田 光代
双葉社
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角田さんの本は正直に言うと直木賞を取る前の短編や中編がとても好きでした。
あっという間に大作家になられましたね。
どの作品もハズレがない。
熱があって、怖さもある。
この本だけは読み逃していたので、子育ての事でもあるし、子育て経験のない女性作家がどう書くのか、読みたいと思って買いました。

●岩川隆『日本の地下人脈 戦後をつくった陰の男たち』(619円・祥伝社文庫)

戦後には怪しい男たちがたくさんいましたね。
表紙は児玉誉士夫と岸伸介ですからいかにも怪しい(笑)。
岩川さんの名前は私たちの世代にとってはよくみかけるものでした。
雑誌でルポルタージュをたくさん書いていた方で、事件屋っぽいけれど正義感の強い印象があります。
「戦後の政財界を牛耳った人たちの全貌を明らかに」とあるのでちょっと気になりますね。


選書を終えて

自分の仕事をしているときは資料を読むだけで精一杯でなかなか本屋さんに行く暇がないんです。
気が散って駄目ですからね。
私にとっては大きな仕事が終わったのでさあ、本を読むのは今だという感じですね。
お金がない頃は文庫になったら買おうと思っていた本をまとめて買うことを発作的にやっていました。
たくさん買い込んで片っ端から読んでいくんです。
単行本には単行本の良さがあるので好きですけれど、旅行先でちょっと読みたいと持って行くにはやっぱり文庫です。
これから三週間イタリアに行きますから、飛行機の中で二冊ずつ、滞在先でも何かないと物足りない。
今は本を読む速度が遅くなってしまったけれど、昔は寝ないで一日に二冊、三冊は当たり前なくらい夢中で読んだ時期もありました。

明治についてはだいたい書きたいことは書いたので、今は関東大震災や第二次大戦に興味があります。
だから自分でもそういう本を書ければと思いながら今日は選びました。
現在の小説は読書量が少ないですね。ある時期からミステリーを読まなくなりました。この世の中がこんなに辛いのに、物語とはいえ殺人やパニックや事故には触れたくなくなったのかもしれません。人生は楽しい方がいいに決まっています。後味の悪い小説は読みたくないです。今回は滅多にない機会だから、読みたいと思っていた本を選びましたね。
選んだものを見るとちょっとオーソドックスな本ばかりになったかしらね。久しぶりにこんなに文庫を買ったので嬉しいです。これほど長時間、文庫の棚を見続けたのは初めて。版元とその量の多さに驚きました。でもやっぱり本屋さんで本を買うのは楽しいですね。 (おわり)
以下のオンライン書店でご購入できます
2017年7月28日 新聞掲載(第3200号)
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