『ごちそうの木 タンザニアのむかしばなし』(西村書店)刊行記念 ジョン・キラカ来日トークイベント  聞き手=さくまゆみこ|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」

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2017年8月11日

『ごちそうの木 タンザニアのむかしばなし』(西村書店)刊行記念 ジョン・キラカ来日トークイベント 
聞き手=さくまゆみこ

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タンザニアの絵本作家ジョン・キラカ氏が新作絵本『ごちそうの木 タンザニアのむかしばなし』刊行にともない来日し、各地で出版イベントなどが行われた。8月3日にはジュンク堂書店池袋本店でトークイベントを開催。本書訳者で翻訳家のさくまゆみこ氏が聞き手兼通訳を務め、キラカ氏によるスワヒリ語での『ごちそうの木』のストーリーテリングをはじめ、作品にまつわるエピソードやキラカ氏の日常の活動についてなどを大いに語った。

ジョン・キラカ氏はアフリカのポップアートであるティンガティンガ派の画家から絵を学び、独自の画風を確立。後年タンザニアの村々をまわって各地に伝わる民話や昔話の収集活動を行いながら、母国をはじめヨーロッパでストーリーテリングを行う。これまでに『チンパンジーとさかなどろぼう』(岩波書店)、『いちばんのなかよし』(アートン)の2作の絵本を出版し、国際的な評価を集めている。

本作『ごちそうの木』は日照りで食べ物がなくなってしまった土地に、たわわに実のなる大木があり、おなかを空かせた動物たちは賢いカメに実を取る方法を聞きに行く。最初は体の大きな動物たちがカメを訪ねるが帰る途中で名前を忘れてしまう。最後に残った一番体の小さいノウサギがごちそうの木の名前をきちんと覚えて帰り、「ントゥングル・メンゲニェ」と木の名前を呼びかけ、落ちてきた実をみんなで食べる。というお話である。

さくま氏はトークの冒頭にキラカ氏によるアフリカの昔話収集活動の様子を紹介する。キラカ氏は「アフリカが近代化する中で、以前は一般的だった「お話を物語る」習慣が消えていく中、僕はタンザニアの村々を訪ね、各地に残る昔話を集めることで、後世に伝えていきたかったのです」と自らの活動について説明する。『ごちそうの木』の題材になった昔話もこの収集過程で見つけた物語であり、アフリカではポピュラーなテーマでもある。
キラカ氏の絵本に登場する動物たちは服を着ているのが特徴であり、さくま氏は動物たちの衣装に注目する。キラカ氏によると「動物に服を着せると、子どもたちは自分に向けられた絵本だと認識します。以前はアフリカの伝統衣装を用いたのですが、子どもに伝わらなかったので、今作は普段着を動物たちに着せたんですよ」と解説する。

さくま氏はキラカ氏の作品は女性や子どもたちが活躍する物語であると指摘する。するとキラカ氏は「伝統的にアフリカの国々では女性は何も出来ない存在だと決めつけられていましたが、僕はそう思いません。女性も素敵なことを実現する可能性は秘めているし、彼女たちにもっと活躍してもらいたい。そんな気持ちを込めて作りました。今作も最後に活躍するノウサギは小さな女の子なんですよ」と述べる。

最後にキラカ氏は「僕はタンザニアや世界中で出会う子どもたちに、小さい頃からたくさんの絵を描くこと、物語を作ることの大切さを教えています。それは将来子どもたちが夢を叶えるために大事なことなのです。僕の絵本がそんな子どもたちの力になれば嬉しいですね」とコメントした。

来場者たちは愉快なストーリテリングとトークによってキラカ氏とともに楽しいひと時を過ごした。
以下のオンライン書店でご購入できます
2017年8月11日 新聞掲載(第3202号)
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