かいけつゾロリ30周年!! 海猫沢めろん氏ゾロリを語る|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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読書人紙面掲載 特集
2017年8月17日

かいけつゾロリ30周年!! 海猫沢めろん氏ゾロリを語る

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海猫沢めろんさんの新作『キッズファイヤー・ドットコム』には、「かいけつゾロリ」について、「ゾロリは純粋悪として生きているにもかかわらず、社会では善になっている」と書かれている。
今年三〇周年を迎え、六〇巻目が刊行された「かいけつゾロリ」、その魅力を海猫沢さんに語っていただいた。(編集部)

海猫沢めろん氏
海猫沢
 「かいけつゾロリ」シリーズは、子どもに読み聞かせるときに、初めて読んで、その面白さに驚きました! あれだけ冊数があるのに、アイデアが一冊一冊光っている。全く、テンプレートじゃないんです。どんでん返しの見事さには、「またやられた!」と、毎回小気味よく負けています。

子供は、親や大人に、やっちゃいけないといわれるていることを、代わりにやってくれるゾロリが大好きです。ゾロリに感情移入して読むことで、ストレスを発散しているのではないかな。

ゾロリは、いまは「いたずらの天才」ですが、初期は「いじめの天才」だったんですよ(笑)。本当に悪いことをしてやるぜ、と思っている。ゾロリは本物のワルなんです。ただなぜか、ゾロリのするいたずらが、まわりの人たちにとって、いいことになったりする。

僕は「ゲンロン」で五年ぐらい連載を続けていますが、それがゾロリみたいに悪いことをやりまくる人物の話。ただもしその「悪」が世界を救ってしまったら、それをどう判断するのか、という話なんです。

ゾロリはニーチェみたいだな、と思うんです。ニーチェは、皆がいいと言っているからとか、道徳的な行為だから、という考えに基づいて行動することを否定します。道徳的でなくても、自分が本当によいと信じることをするのがよいのだと。極端な例ですが、その信じるところが、殺人であっても、殺人が本当にいいと思っているなら、やればいい、と。欲望に忠実な、純粋悪のゾロリは、ある意味、ニーチェの思想に通じると思っています。

幼い子供には、何が悪くて、何が良いのか、善悪の基準がまだ構築されていません。でも、何が面白いか面白くないかは、教えてないのに分かるんですよね。たぶん道徳より上の階層に、面白いことや、快楽や、笑いがあるんです。笑いは人間にとって重要な要素だから、大人も、善悪の前に面白いかどうかで、人を判断するところがある。世の中は、ゾロリをより一層求めるのではないかと思います。

シリーズの中でも、『かいけつゾロリ あついぜ!ラーメンたいけつ』が一番好きです。あの話には、大笑いさせてもらいました。いけてないラーメン屋を競わせて、自分が一儲けしようという魂胆から、ゾロリたちが新しいラーメンをいろいろ考案するんです。そのうちに、「醤油ラーメンも、味噌ラーメンも、塩ラーメンもあるのに、なぜこれがなかったのか!」とひらめくのですが……何ラーメンだと思いますか? これがなんと、「砂糖ラーメン」(笑)。確かに、塩はあるのに、砂糖はなかった! その発想には、一本とられました(笑)。結局、甘くて食べられないのですが。

ゾロリは、みずしま志穂作、原ゆたか絵の「ほうれんそうマン」の敵役だったんですよね。そのスピンオフが、こんな人気者になって、今年で三〇周年。今後もゾロリには、あっと驚くいたずらで、笑わせてもらいたいです。(おわり)
新刊『かいけつゾロリの かいていたんけん』

30周年記念の『かいけつゾロリのかいていたんけん』はシリーズ61冊目。

海に出かけたゾロリとイシシとノシシ。そこがうらしまたろうが住んでいた海岸あたりらしいと知り、まずは困っているカメを助けるために、カメ探し。空腹のゾロリたち。ちっとも魚がかからず、ゴミばかり釣り上げたノシシですが、ひょんなことでカメの命の恩人に。カメの背にまたがり、まんまと竜宮城目指して海底探検に出発です! 色とりどりの海の底。「うみのさかなのじゆうひろば」、略して「USJ」のアトラクションの楽しさと言ったら!

しかしゾロリたちはさらなる海底、本物の竜宮城へ向います。深海には見たこともない神秘的な生物がたくさん。不思議なことの大好きなゾロリたちは大興奮! 食べたことのないおいしい食事にショー、乙ひめにも気にいられたゾロリですが……はてさて、竜宮城はゾロリ城となるのでしょうか?

今回も、すみからすみまで遊び心満点、ゾロリの新たなチャレンジにワクワク。深海魚の不思議にも触れられる、夏にピッタリ、一石百鳥の本となりました。

この記事の中でご紹介した本
かいけつゾロリのかいていたんけん/ポプラ社
かいけつゾロリのかいていたんけん
著 者:原 ゆたか
出版社:ポプラ社
以下のオンライン書店でご購入できます
キッズファイヤー・ドットコム/講談社
キッズファイヤー・ドットコム
著 者:海猫沢 めろん
出版社:講談社
以下のオンライン書店でご購入できます
2017年8月11日 新聞掲載(第3202号)
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