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2017年9月14日

忘れられない夢がある

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忘れられない夢がある。一つは幼いころに見た魔女に人肉を食べさせられる夢。泣きながら食べたがおいしかった、という罪悪感。もう一つは大人になって見た、何となく嫌な気持ちの後に、「そうか私は人殺しだったんだ」と気づく夢。目覚めて夢でよかったと思いつつ、一方で「生まれることは他者を殺すことなのかもしれない」と妙に納得したのだった。
『性食考』はたぶん読む人それぞれの深いところにある記憶を呼び起こす。本書の引用に、ムズムズして他の本を再読したこと多々。一冊目は『シュナの旅』。あぁ『シュナの旅』とはそういう話だったのか。『性食考』は数多の本、数多の思考を重ねていくことで、大きなテーマを解き明かす。
が、逆もしかり、個々の物語の見事な読み解きにもなっている。いい本とは互いに食ったり食われたりしながら、その内側に他者をたたえるものなのか。
他にも宮沢賢治作品集や、昔話、童話集の類が、本棚から引っ張りだされ手元にある。『かいじゅうたちのいるところ』は家に英語版しかなかったので、本屋でそっと見せてもらった。『性食考』という一冊の本から、懐かしいあるいは新しい、物語を探す旅が始まっている。(S)

■関連特集
対談=赤坂憲雄×相馬千秋 人間と世界の秘密に触れる方法 『性食考』(岩波書店)刊行を機に(週刊読書人2017年9月8日号)

2017年9月8日 新聞掲載(第3206号)
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