武瑠(SuG)著 VISION LIFE STYLE BOOK|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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新刊
2017年9月12日

武瑠(SuG)著 VISION LIFE STYLE BOOK

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ファッションと文学はどこまで近く、どれだけ遠いか。服という既存のモノを着るだけ、流行や異性の目を意識して選ぶだけ、という表面的な捉え方だと遠いだろう。武瑠というアーティストは、ファッションと音楽、映像、文章を歯車のように組み合わせながら表現手段としてきた。彼のファッションのコンセプトは、音楽同様「ミクスチュア」。ストリート系とゴシック系といった異なるテイストのアイテムを組み合わせながら、一つのストーリーを作り上げていく。不思議とそこにナルシシズムはなく、むしろ合わせた隙間から静謐なクールさや深いダークさを漂わせ、そこを起点にして一気に美しさに振り切る「表現」となっている。その強度が、服を単なる服に終わらせない、表面だけにとどまらない彼自身のストーリーであり、限りなく文学に近いファッションとなっている。

子どもの頃から父親の本棚にあった『ガロ』から異端的な世界を知り、実際の残虐犯罪を元にした小説や人間の本性を暴くような小説に惹かれるようになったという彼の内面にある闇は、どれだけ華やかなアイテムに身を包んでも、どこかにふっと影を落とす。ストーリー性という意味では、プロモーション・ヴィデオの影響も大きいと思われる。MTVから音楽に興味を持ち始めたという彼は、多い時では1日12時間もPVをずっと観ていたというマニアックな性癖を披露しているが、それが映像と同時に曲を作るというスタイルにつながっている。インテリアやファッションアイテムを買うときにもPVや映像作品に使っていくことを前提に選び、ライフスタイルそのものが創作につながっていく(逆にPVで使った棺桶をインテリアにしたシュールな部屋に住んでいたりもする)。「ステージに立つ人間は、生活もすべて犠牲にするくらいでないとダメだ」という言葉に象徴されるように、自分の100パーセントをクリエーションに注ぎ込んできた武瑠の生き方がすべて詰め込まれた1冊が『VISION-LIFE STYLE BOOK』なのだ。

武瑠はこれまで2冊の小説を上梓している。いずれもロックバンドSuGのアルバム(すべての曲は武瑠の作詞)の世界観を一つのストーリーとして紡いだものだ。しかし、『VISION』というスタイルブックは、武瑠自身という新しいストーリーを予感させるものになっている。すべてのはじまりにVISIONは存在し、そこからクリエーションが生まれるのだから。(A5判・一六〇頁・二四〇〇円・KADOKAWA)
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2017年9月8日 新聞掲載(第3206号)
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この記事の中でご紹介した本
武瑠(SuG)著 VISION LIFE STYLE BOOK/KADOKAWA
武瑠(SuG)著 VISION LIFE STYLE BOOK
著 者:武瑠
出版社:KADOKAWA
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