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漢字点心 第194回
2016年8月19日

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リオ五輪もいよいよ終盤。その開催国「ブラジル」を漢字で書き表すと、「伯剌西爾」となる。略す場合は「伯」。そこで、今回はこの漢字を取り上げてみよう。

「伯」の基本的な意味は、長男。次男は「仲」で、三男は「叔」。「おじ」を漢字で書き表すときに、年上であれば「伯父」と、年下の場合は「叔父」と書くのは、「仲」の立場から見たものだろう。

「画伯」のように用いるのは、転じて、「実力がとても高い人」という意味になったもの。長男が家を継ぐのが伝統であった時代、その長男に対する評価と、期待の高さが窺える。

「伯爵」も「地位が高い」というイメージがある。が、実際には、「公侯伯子男」という五段階のうちの第三位。貴族としては、それほどえらくはない。さらに、「実力伯仲」になると、次男とさして変わらないことになってしまう。

この不安定さが、長男の長男たるゆえんか。世の長男たちの溜め息が聞こえてきそうである。
2016年8月19日 新聞掲載(第3153号)
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