創刊65周年『明星』連載文芸作品をよむ 第1回 源氏鶏太『青空娘』|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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創刊65周年『明星』連載文芸作品をよむ
2017年10月11日

創刊65周年『明星』連載文芸作品をよむ
第1回 源氏鶏太『青空娘』

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青空娘(源氏 鶏太)筑摩書房
青空娘
源氏 鶏太
筑摩書房
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今秋、集英社発行の『明星』(一九九二年十月号より『Myojo』)が創刊六十五周年を迎えた。また、先行誌『平凡』(マガジンハウス)が休刊三十年の節目を刻む。

『明星』については今春、田島悠来『「アイドル」のメディア史――『明星』とヤングの70年代』(森話社)が刊行された。同書は、「アイドル」という視角から一九七〇年代の『明星』にアプローチしたものである。この連載では、アイドル誌以前、すなわち一九五〇年代から一九六〇年代にかけての娯楽雑誌時代の『明星』に連載された文芸作品を、『平凡』を視野に入れながら見てみたい。

創刊号(一九五二年十月号)に読み切り小説『ミス・そろばん』を寄稿した源氏鶏太は、一九五三年一月号にも『美男コンクール』を寄せている。また連載小説としては、『青空娘』(一九五六年七月号から一九五七年十一月号)、『若い仲間』(一九五九年六月号から一九六〇年六月号)を発表した。この二作品とも、大映で映画化された。『青空娘』は現在、ちくま文庫で読むことができる。今回はこの作品に光をあてる。

連載開始後の一九五七年一月号には、「若尾ちゃんは青空娘 源氏先生こんにちは」と題した二頁のモノクログラビアがある。これは、若尾文子が源氏の家を訪問したものである。大きく掲載された書斎でのツーショットが、印象的である。『青空娘』の映画化の準備が進むなかで、編集部に届くヒロイン小野有子の配役の希望が最も多かった若尾が、源氏宅を訪ねた企画である。

ところで一九五六年十一月十五日から『明星アワー』がラジオ東京で放送を開始した(『平凡アワー』が一九五一年十一月に文化放送で始まっている)。

そして一九五七年二月二十一日から『明星アワー』で、ドラマ『青空娘』が放送された。ドラマ開始を伝える『明星』同年四月号によると、有子の役が若尾、有子の恩師二見桂吉が菅原謙二、有子と結ばれる広岡良輔が、小泉博である。記事によると、若尾は「本格的なドラマははじめてなので一生懸命やります」と張り切っている。

翌五月号の記事「ドラマ青空娘の主題歌誕生!」では、島倉千代子が歌う同名の主題歌は、デビュー曲「この世の花」と同じく西條八十作詞・万城目正作曲だと報じられた。

島倉の芸能界デビューのきっかけは、『平凡』とコロムビアレコードのタイアップでおこなわれた第五回「コロムビア全国歌謡コンクール」(一九五四年)である。「この世の花」は、『明星』創刊号から連載された北條誠『この世の花』の映画化作品の主題歌である。

連載が終わる十一月号の記事「青空娘 ロケ報告」では、伊豆半島城ヶ崎海岸でのロケの様子が、写真を交え紹介されている。別の記事では、ラジオドラマと同じく、有子役が若尾、二見役が菅原であり、『くちづけ』で同年デビューした増村保造監督が演出すると伝えられている。

この号の『青空娘』最終回の頁で、本文の前に記された編集部による文章の最後は、こうしめくくられている。「映画にラジオに大人気の評判小説堂々ここに完結!」。

じっさい、映画『青空娘』DVDに収録された予告篇の冒頭のナレーションでも、「ラジオに小説に若い女性の人気娘がいよいよ映画になりました」という言葉を確認できる。

上記の「映画にラジオに」という表現からも、先行誌『平凡』でも顕著なように、連載小説が、一九五〇年代当時の雑誌そのものにおいてだけでなく、映画化・ラジオドラマ化という面でも重要なコンテンツであったことをうかがえる。

さらに、連載小説が原作のラジオドラマの収録現場や映画のロケの模様、作家と俳優の組み合わせを見せることで、読者の興味をたかめる誌面が構成されていたことがわかる。(文中敬称略)
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2017年10月6日 新聞掲載(第3209号)
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青空娘/筑摩書房
青空娘
著 者:源氏 鶏太
出版社:筑摩書房
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