しんくわ『しんくわ』(2016) あの子は僕がロングドライブを決めたとき 必ず見てない 誓ってもいい|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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現代短歌むしめがね
2017年10月10日

あの子は僕がロングドライブを決めたとき 必ず見てない 誓ってもいい
しんくわ『しんくわ』(2016)

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しんくわ(しんくわ)書肆侃侃房
しんくわ
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岡村靖幸の楽曲「あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう」のパロディである。いじりやすいタイトルなのでこれまでもさんざん大喜利のお題にされてきたが、短歌で使われるのははじめてかもしれない。

「卓球短歌カットマン」という連作のうちの一首。この連作は弱小卓球部のへなちょこ感を、くだけた口語で戯画的に表現し、2004年に歌葉新人賞を受賞した。破調をかなり使っているが短歌のリズム感を崩していない好例といえる連作なので、短歌入門にうってつけだ。

それにしても、バスケットボールから卓球に置き換わっただけで、ずいぶんと情けなくなってしまったものである。かっこよく決めたシーンを想い人が見てくれることだけはありえない!と自信満々に断言しているのが面白い。この連作には他にも「じゃがたら」が登場したりと、90年代初頭くらいの空気感に満ちている。バンドブームが収束した。バブルは弾けた。結局自分たちの日々の暮らしは最後までパッとせず終焉したということだけを、明確に告げられた。そんな空気感の象徴として、岡村靖幸はもっともパロディしがいのあるミュージシャンだったかもしれない。

なお歌人のペンネームが「しんくわ」であり、第一歌集のタイトルも作者名をそのまま使った『しんくわ』である。おおっ、これは、岡村靖幸がプロデュースした川本真琴のファーストアルバムが『川本真琴』だったのと同じだ。不思議な偶然。

この記事の中でご紹介した本
しんくわ/書肆侃侃房
しんくわ
著 者:しんくわ
出版社:書肆侃侃房
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2017年10月6日 新聞掲載(第3209号)
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