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八重山暮らし
2017年10月10日

八重山暮らし⑫

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与那国の海を飛ぶカツオドリ。最西端の西崎から台湾までは111キロ。

(撮影=大森一也)
与那国にいたいから


黒潮に屹立する日本最西端の島、ドゥナン(与那国島)。船べりから見た碧い荒波、切り立つ断崖。ひりひりとした孤高のつよさを抱く。「ドゥナン」、その方言の低い響きには、我が島への揺るぎなき誇りがみえる。西の島との出合いに旅の人は頷くばかりだ。

在来種の与那国馬に象徴されるように、ここにしかない風土に憑かれ、旅人は移住を決意する。そうしたよそ者の家探しに奔走する島人。なぜ見ず知らずの人にそこまで尽くせるのか?
「そうさね。ただ遊んで帰る人と、島で暮らそうと思う人は違うから。分かるさぁ。あの人は心が上等…」

率直な悦びが返った。

移住者の営み、島への想いは共鳴し紡がれていく。
「与那国にいたいから。そのために私はここへ来た。島の人は独りきりじゃない。お互いさまの暮らしが、あたりまえにあるのよ」

彼らは島になくてはならないものと、そぐわぬものを濁ることのない瞳でしかと見据える。平和な祈りの島を削り、軍事基地をつくる言語道断にもへこまず、静かに首を振り、より良き明日を手繰り込む。
「島の神が見ているさぁ」

八重山で言い伝えられてきた言葉。おごり高ぶる行いを島の神々が見定めている…。心根に張り付いたその教えを与那国では、かつての「旅の人」の口からも聞くようになった。

2017年10月6日 新聞掲載(第3209号)
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