DISCOVER21×アカデミーヒルズビジネス書大賞2017 授賞式&記念トークセッション 「人間の本質」「人類の歴史と未来」  ゲスト:山極寿一、山海嘉之、森健、浜田敬子|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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受賞
2017年10月13日

DISCOVER21×アカデミーヒルズビジネス書大賞2017
授賞式&記念トークセッション 「人間の本質」「人類の歴史と未来」 
ゲスト:山極寿一、山海嘉之、森健、浜田敬子

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9月7日、ビジネス書大賞2017授賞式及び記念トークセッションが、六本木ヒルズ49階のアカデミーヒルズ六本木ライブラリー・オーディトリアムで開催された。今年で第8回を迎えた「ビジネス書大賞」は日本初のビジネス書アワードとして2010年に創設。ビジネス書のプレゼンスをさらに大きなものとして出版界の活性化に貢献するとともに日本のビジネスパーソンと産業界の発展に貢献するというミッションを掲げ、それにふさわしいビジネス書を選出してきた。今年度の受賞作は、大賞に『サピエンス全史 上・下』(ユヴァル・ノア・ハラリ著、柴田裕之訳/河出書房新社)、凖大賞に『LIFE SHIFT』(リンダ・グラットン/アンドリュー・スコット著、池村千秋訳/東洋経済新報社)、審査員特別賞に『小倉昌男 祈りと経営』(森健著/小学館)、読者賞に『GRIT やり抜く力』(アンジェラ・ダックワース著、神崎朗子訳/ダイヤモンド社)が選出された。

授賞式では、株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン取締役社長・干場弓子氏の挨拶に続き、選考委員の日立製作所取締役兼日立化成取締役会長・田中一行氏、株式会社ニューズピックス取締役でインターネット経済ニュースメディア『NewsPicks』編集長・佐々木紀彦氏から選評が述べられた後、大賞及び各賞の授賞式、トークセッションへと移行した(以降、講演の模様を一部抜粋)。
前列左から、浜田敬子氏、森健氏、山極寿一氏、山海嘉之氏

■審査員特別賞『小倉昌男 祈りと経営』受賞記念トークセッション「人間の本質」

登壇者=森健氏(『小倉昌男 祈りと経営』著者)、聞き手=浜田敬子氏(BUSINESS INSIDER JAPAN 統括編集長、AERA前編集長)

講演は著者の森健氏と書き手と編集者として長い付き合いがあるというAERA前編集長の浜田敬子氏が聞き手となって進められた。なぜ小倉昌男氏を書きたいと思ったのか、取材のねらいなどを問いかけられた森氏は、東日本大震災のときに、ヤマト福祉財団が142億円もの寄付をしたことを知り、最初は小倉氏の経営哲学と宗教観が結びついているのではないかと取材を始めたと話し、「ところが関係者を当たっていくと、誰に聞いても「あの人は家族が大変で」という話になって最初の仮説と違っていた。けれど、外れていくところに発見があったり、えっと思うことを掘っていくとそこが本質だったりする。今回の取材もまさにそうで、自分自身が驚きながらずっと取材をしていた」と今回の取材を語った。また、書きたいと思う人はどんな人かという問いに対しては、「多様な面をもっている人」を挙げ、「失敗の部分やその人の抱えているものはあまり語られないけれど実は大事だったりする。人間にとって“後悔”は一番ひっかかるし、重い感情だと思っていて、何かの後悔を持っている人が取っている行動は重いし、強い」と語った。
受賞作を紹介する干場弓子氏

■大賞『サピエンス全史』授賞記念トークセッション「人類の歴史と未来」

登壇者=山極寿一氏(京都大学総長)、山海嘉之氏(CYBERDYNE株式会社代表取締役社長、筑波大学大学院教授、内閣府ImPACTプログラムプログラムマネージャー)
進行=九法崇氏(河出書房新社)

トークセッション「人類の歴史と未来」では、京都大学総長で日本の霊長類研究の第一人者である山極寿一氏と、筑波大学大学院教授でサイバニクスの第一人者である山海嘉之氏が登壇。冒頭、進行役を努めた『サピエンス全史』の編集を担当した九法崇氏は本書について、世界48カ国で500万部、日本では45万部を突破していること。3つの重要な革命(認知革命、農業革命、科学革命)とともに人類史を俯瞰し、集団で虚構を信じる能力こそが人類が文明を築く礎となったということがテーマとなっていること。人間はその文明によって幸福になったのか、未来において人類はどのような形に変化していくのかということが書かれていることを紹介。約1時間のトークでは、本書の魅力やどこに惹かれたか、本書のテーマとしての虚構の役割、機械と人間が創りあげるICT社会、脳の拡張と身体の拡張、ロボティックス、これからの家族やコミュニティの在り方など、それぞれの分野からの最新の研究成果や幅広い知見、深い洞察を織り交ぜた「人間の歴史と未来」についてのトークが繰り広げられた。講演の終盤、山極氏は、「本書の最後に「我々が何をしたいのか」とあるが、それは我々自身わからない。重要なことは人間は閉鎖系で自律的にものを考えるということ。機械のような積み重ねのデータ処理でなく人間は直感で動く。機械やAIとうまく折り合いをつけながら賢く利用しながら生きていくときに、人間は開放系なのか閉鎖系なのかということを常に頭に入れておかなくてはいけない。内からも外からも人間の生物的存在が脅かされる時代、サイバネティクスのそもそもの理想というのは人間の身体の中にうまく利用できる機械や物質を入れて人間の機能を拡張しようというものだが、人間とはどうあるべきか考えていかないと技術が先行してそちらの方に属する人間になっていくという危険性も出てくる。いま真剣に討論しておかないと我々にとって制御できない世界がやってくる気がする」と語り、山海氏は「社会に出荷される機械についてはルール化されて保障されるようにはできている。ただ、軍事の世界ではそこのタガが外れている。人間社会であれば法があるが、テクノロジーの世界はそれを制約している社会とそうでない社会が存在している。情報規制によって情報空間も中身が変わってきている現在、私たち人類はそういうものをどのようにうまく共有化しながら適切な状態に持っていくか。科学技術が発展すればするほど根本である人間とは何か、生きるとは何か、そういうものが重要な時代になってくる」と締めくくった。 (おわり)
以下のオンライン書店でご購入できます
2017年10月13日 新聞掲載(第3210号)
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この記事の中でご紹介した本
小倉昌男 祈りと経営~ヤマト「宅急便の父」が闘っていたもの/小学館
小倉昌男 祈りと経営~ヤマト「宅急便の父」が闘っていたもの
著 者:森 健
出版社:小学館
以下のオンライン書店でご購入できます
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