【横尾 忠則】十六夜おッ月さーん! 国外から希望の朗報|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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日常の向こう側ぼくの内側
2017年10月17日

十六夜おッ月さーん! 国外から希望の朗報

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2017.10.2
 余計な絵のことを考え過ぎて、まだら睡眠。

3ヶ月近く空白になっていた足裏治療の中田先生来訪。寒くなった軽井沢からTシャツ一枚とは相変らずお元気だ。始発の新幹線で軽井沢からの出張治療。

夕方、gggギャラリーの北沢さんが、瀬戸内さんの小説「幻花」の新聞挿絵の原画展を2年後に企画しているという。美術館並みに気の長い話だ。先の予定は命を約束されたようで有難度うというべきか♥

2017.10.3
 日本HPの深野さん、大西さん来訪。近い将来に計画している写真展に協力してもらうことになった。

午後、NHK国際放送テレビ「Direct Talk」のインタビューに一時間半応じてヘトヘト。この番組は国内で制作する海外版だからDVDは手に入るが、海外のテレビ局の番組でDVDを送ってきた試しは一度もない。以前ブラジルに行った時、ホテルの風呂に入っている時、部屋のテレビの音声から日本語が聴こえてきたので、急いで出ると、なんとぼくのインタビュー番組が放映されていて、この偶然にびっくりしたことがあるが、これだってナシノツブテだ。だから海外との仕事はいつもあまり期待をしないことにしている。去年だってフランスのテレビ番組に4本も出演しているのに、どこの局もDVDを送って来ない。だからといて日本も彼等のマネをしないようにして下さいよ。

神戸からぼくの美術館の館長の蓑さん、理事長の山本さんが、雨漏り工事のため一ヶ月間、休館するという報告に。

「開運!なんでも鑑定団」に内田裕也さんが、40数年前の彼のコンサートのために描いたぼくのポスターを持って登場。オフセットのポスターだから高くても20万円だろうと思っていたら、裕也さんはロックンロールで69万円と強気。結果は50万円だったけれど彼は不機嫌。こーいうのは安く見積った方がいいんだよね。

2017.10.4
 外国から帰国の途に着くが、その道中、不安がつきまとう。知らない同行者が韓国人だ。海外旅行から帰国の途に着く時、いつもストレスとパニックに襲われる過去の体験の具現夢が。この手の夢は本当によく見るけれど、海外旅行を中止して7~8年経つのにどうしてかな?

5時起床。ベッドの中で書評一本書く。

午前中「サピオ」で〈我が人生の書棚〉という取材あり。江戸川乱歩と南洋一郎の少年物の小説、ヘッセの「シッダールタ」、貝原益軒さんの「養生訓」、ブルトンの「シュルレアリスム宣言」、ジュール・ベルヌの驚異のシリーズ本、ダンテの「神曲」を挙げる。

午後、軽井沢から高平哲郎さん演出「外連国小洒落日本」のポスターの打合せ。外国人対象のスーパー歌舞伎ばりのお芝居みたい。吉本興業が造る新劇場のコケラ落としである。

2017.10.5
 5階建の高さのイチョウの樹をテーマにアート作品の依頼。葉を一枚一枚色を変えて塗るか、それとも葉を真黒にして樹木を白にする、またはその逆の彩色にするとか。いづれにしても面白くなりそーにないと思う夢を見る。

午前中「文學界」の今までの担当者豊田さんが「週刊文春」に移るので新しい人をと若い清水さんと二人で来訪。清水さんはピンクの花模様のジャケットに、オレンジのストライプのパンツ。「文學界」も変ったもんだ。その彼がぼくに小説の依頼を。色気はあるが才気がないよ。

昼、東宝スタジオへ、山田洋次さん、橋爪功さん、小林稔侍さん、妻夫木聡さん、蒼井優さん、夏川結衣さん、中嶋朋子さんらと食堂で昼食。稔侍さんと共通の知人は高倉健さん。二人で皆んな引き上げたあとも延々健さんのとっておきの話を聞く。世間の健さん像はひっくり返るよ。

昨夜は十五夜おッ月さーんだったが曇って見れず。今夜は十六夜おッ月さーんて言うのかねえ。「十六茶」っていうお茶はあるけど。
東宝スタジオにて橋爪功さん、小林稔侍さんと

2017.10.6
 若い頃大ファンだったアンヌ・ビアゼムスキー(70)と、同じくファンだった鶴岡雅義と東京ロマンチカの初代ボーカリストの三條正人さん死去。足元から青春の夢は崩れる。

毎年、ノーベル文学賞に村上春樹さんが期待されるが、カズオ・イシグロ氏の受賞に大抵の人は驚いたはずだ。国の中は「希望の党」の出現で大騒ぎ、その最中、国の外から思わぬ希望の朗報。

昼は東宝スタジオで濱田さんと昼食。

2017.10.7
 昼食は今日も東宝スタジオで濱田さんと。今日は都内ロケでスタッフは濱田さんだけ。絵を1枚仕上げる。計4枚になるがどの絵も未完のまま。以前からそーだけれど年と共に未完が益々増える。どうも完成させる意志が薄弱らしい。ミケランジェロの彫刻だって未完が多いし、またそれが傑作なんだ。

午後アトリエに戻って、朝日新聞の書評のための本を読み始める。

2017.10.8
 昼食のあと久し振りに野川のビジターセンターのテラスで。書評を完成。まるで初夏のように暑く額から流れる汗が目の中に入る。公園のベンチに移動。目の前には10種類の色とりどりの花に蜂や蝶が飛びかっている。しばらく無為な時間を過ごす。

2017年10月13日 新聞掲載(第3210号)
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