千代田図書館企画展示 「書評紙が選ぶ いますぐ読みたいベスト16」  関連トークイベント 二紙の編集長が語る、書評紙の役割|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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2017年10月20日

千代田図書館企画展示
「書評紙が選ぶ いますぐ読みたいベスト16」 
関連トークイベント 二紙の編集長が語る、書評紙の役割

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当日は席数五〇名のところ約七五名が来場(千代田図書館9Fイベントスペース)、「書評紙が選ぶ 今すぐ読みたいベスト16」は、10月21日(土)まで

〈登壇者〉 『週刊読書人』編集長・明石健五、『図書新聞』編集長・須藤巧氏、
出版社「共和国」代表・下平尾直氏(コーディネーター)


9月8日、千代田図書館企画展関連トークイベント「2紙の編集長が語る、書評紙の役割」が開催された。この講演は、『週刊読書人』『図書新聞』の初の合同企画「書評紙が選ぶ 今すぐ読みたいベスト16」の関連イベントとして企画されたもので、小紙・明石健五と『図書新聞』編集長の須藤巧氏、コーディネーターとして「共和国」代表の下平尾直氏が登壇。

同館企画チーフで展示を担当した河合郁子氏は今回の企画展と講演について、「千代田図書館では二〇一三年に『週刊読書人』、二〇一五年に『図書新聞』と連携して企画展を開催、今年は満を持して二紙との合同企画展に至った。企画担当の想いとして、書評紙に紹介された本を図書館利用者に知ってもらいたいのはもちろん、濃厚で個性溢れる書評紙の存在や魅力も伝えたいと思っていた」と語った。

トークセッションは、両紙をよく知る下平尾氏の司会で進められた。下平尾氏は、「この長い書評紙の歴史の中で両編集長がこうして公開の場でお話しするのは有史以来初(笑)」とし、書評紙の歴史を解説。まずは、二紙の編集長によるそれぞれの媒体紹介や各人の来歴、入社のきっかけなどが述べられたのち、二紙のカラーの違いやそれぞれの紙面作りが語られ、紙面に取り上げる選書の基準については、

須藤「一年間に五〇号、一号で三〇冊として年間一五〇〇冊取り上げているが全体(八万点/年間)からすると二%ない。その中から良い本を選び、各方面への配慮で上げることもあれば、著者・訳者・編者で選ぶ場合もある。両紙ともに広告欄もある」。

明石「基本は同じでいろんな配慮もあるし、ビジネス本や自己啓発本みたいなものも大量に出ている。書評は批評であり、この本を読んでほしいみたいなことがある。少部数でも良い本を書評で取り上げることによって五人でも一〇人でも読者が増えることを願ってというのはある」。

下平尾氏は書評紙が書き手を育成していくような場でありうるのか、紙のメディアとしての書評紙が今後どうなっていくのかについて問いかけた。須藤氏は、「究極的に言えば、書評紙なんかなくたっていい。書物を媒介にしなくても構わない。単純に書き手を育てるということで言えば、書評を書いてもらうのが一番簡単でオーソドックスなやり方だが、実は『図書新聞』は書評紙だと思ったことはあまりなくて、文明批評紙、批評の新聞と言っても構わないのではないか」。明石は、「書評家を育てるというより、若い人に向けて書く場を提供するということ。今若い人が本を読まない、大学生の半分くらいが年間0冊という状況で、本を読む人がいなくなったら、書評紙も出版文化もない。読み手を育てるために書評紙もあると思っていて、僕のやりたいことは読み手を育てるということ」と答えた。

下平尾氏は、「話を聞いているだけでも紙面からだけでは伝わってこない、両編集長の生の声がひしひしと伝わってくる」とコメント。両紙の今後の展開について尋ねた。

明石「記事のWEB公開を始めて若い読者も増えている。今後はネットをどうやって収入に結びつけていくか、もう一つは単行本事業を進めて裾野を広げていく。新しい書き手が出てくれば受け入れる」。

須藤「(出版界は)暗い話ばかりが先に立つ状況で、昨日のやり方で今日も出来るか、それが明日に通じるかというのは原発と一緒でそういうものではない。具体的に解決策があるわけではないが、来年以降いろいろ計画している」。

下平尾氏も、「一人で出版社を作って当然明るい話はない。お金がなくて苦しいときもあるが、こういう転換期に自分が生きて本で飯を食うことができるのは、それなりに楽しい。駄目なときは(共和国なだけに)第二共和政にするだけ(笑)」と語り、続けて須藤氏は、「雑誌(新聞)の面白さは、言論のHUBであると同時に人間関係のHUBでもあって人が集まってくることだと思う。そこで新しい化学反応を意識的に作っていく。それは紙の媒体というのが具体的、物理的、現実的な場だからで決して空疎なものではない。その人の問題意識を共有したいということは、両紙に共通している想いなのではないか」と語った。
2017年10月20日 新聞掲載(第3211号)
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