泳二(2015) 「この味がいいね」と僕が言ったのにオリーブオイルをかけるもこみち|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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現代短歌むしめがね
2017年10月24日

「この味がいいね」と僕が言ったのにオリーブオイルをかけるもこみち
泳二(2015)

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現代の短歌の中でももっともたくさん本歌取りをされたのは、俵万智の〈「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日〉をおいて他にないだろう。本歌取りというよりはパロディ、いやむしろ替え歌といったほうがいいか。替え歌をされるというのは、構文そのものが斬新で印象的だったということなのだから、優れた歌であることの何よりの証左だ。最近でいえば映画『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』のタイトルがずいぶんとパロディにされているが、やはり一度聞いたら忘れられない良いタイトルだからということにつきるのだろう。

そしてこの歌はサラダ記念日の替え歌であると同時に、速水もこみちをからかったネタでもある。速水もこみちはテレビ番組で料理コーナーを担当するほど料理に堪能なのだが、やたらとオリーブオイルを使いたがり、大量のオイルを流し込んだりすることがしばしばなのだ。本場のイタリアンでは決して珍しいことではないらしいのだが、オリーブオイルを使いたがるキャラクターがいつの間にかネタにされてはひとり歩きするようになった。その状況を知っている者にだけ笑えるのが下の句のネタということである。

「君」と「僕」のズラシがあったりとサラダ記念日のパロディとしては相当ハイレベルな一首であるが、いまサラダ記念日ともこみちのオリーブオイルネタを両方知っている人は、どれくらいいるのかなあ。

2017年10月20日 新聞掲載(第3211号)
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