田原総一朗×三浦瑠麗×猪瀬直樹 「国民国家のリアリズム」 日本文明研究所シンポジウム載録 |書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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読書人紙面掲載 特集
2017年11月9日

田原総一朗×三浦瑠麗×猪瀬直樹
「国民国家のリアリズム」 日本文明研究所シンポジウム載録

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八月二十一日、日本文明研究所の第九回シンポジウム「国民国家のリアリズム」が行われた。
登壇者は、『朝まで生テレビ!』でおなじみ、ジャーナリスト・評論家の田原総一朗氏と国際政治学者の三浦瑠麗氏、モデレーターを作家で当研究所所長の猪瀬直樹氏が務めた。
その内容の一部を載録する。シンポジウムから二ヶ月の間に、ドイツ総選挙が九月二十四日、中国共産党大会は一〇月十八日から、日本の衆議院解散総選挙は二十二日に投開票が行われた。
北朝鮮のミサイル問題も激化している。シンポジウムでは、九条改憲や徴兵制、原発問題を中心に、日本の現状が浮き彫りにされた。その後の各国の動向と合わせて、考えるきっかけとしていただきたい。 (編集部)
第1回
国民国家とグローバリズム

猪瀬 直樹氏
猪瀬
 国民国家とは、十九世紀に確立したもっとも精緻な国家モデルだと思います。それは例えば、納税や徴兵や議会といった、国民が参加して、国民が責任を負う仕組み。国民が官僚になれるし、議会で多数をしめることで意思決定できる、そういう国家システムですよね。
田原
 トランプ大統領は「グローバリズムやめた」と言い、「国民国家」と言いだしたね。
猪瀬
 トランプ氏は、国民国家のモデルがグローバリズムの中で崩れてしまった、と考えていますね。あるいはイギリスにも、EUに主権を奪われて国民国家が崩れた、という認識があり、ブレグジットが起った。中国は未だ、国民国家ならずですが。
三浦
 国民国家が十九世紀から今に至るまで、他に代替物がなかった理由は、世界政府がないことですよね。でも実際には、国民国家をはみ出して活動する、個人や企業がいて、国家の裁量で決められる領域はだんだんと狭くなってきている。国民国家の中でも、公平性が担保されているわけではない。安穏と暮す人がいる一方で、一部の人に軍務など、生死に関わる重い負担が押しつけられている。

猪瀬さんがおっしゃったとおり、国家の基礎には「税金」があります。兵役が課せられる場合もあるのですが、ここではとりあえず税金としておきます。税金は、例えば企業が海外進出するようなときに、最も問題を孕むポイントです。日本であまり問題がおきていないのは、日本がグローバル化していないからです。

またアメリカでは、「国民」が定義されにくいことも、国民国家が揺らぐ元となっています。アメリカは、建国の理念を表明した時点で、十三州しかありませんでした。その後次々と国土を広げメキシコの一部まで切り取り、州の数が増えていった。そうして領土の拡大を終えた後にも、大量の移民が流入する。どこまでが、何が、国民かを計りかねているわけです。

今回、トランプ氏は不法移民を取り締まり、移民の受け入れを日本のように、高技能を持った者に限ろうとしました。境界線を画定して、移民の受け入れ量をコントロールし、境界が定まった後に所得の再配分をしようと。それが共和党的政策では「減税」や税額控除の拡充であり、トランプ政権的には公共事業などへの財政支出との組み合わせということになるわけです。税額控除について少し説明しますと、共和党的発想では、子育て支援を、単なるばら撒きや、官営の保育園を大量に作るというのではない、競争を誘発する仕組みを通じて行うことになります。例えば、一家庭が教育にかけた費用を、確定申告の時に控除する仕組みにすることで、自由で多様なサービスの利用を前提に競争を促したいということ。資本主義と適合的な子育て支援ですね。

全般的に見て、トランプ政権のしたいことというのは、国民国家がグローバリゼーションに闘いを挑んでいるというよりは、一端、線を引いて、調整しましょう、という提案に過ぎないと、私は考えています。

この記事の中でご紹介した本
国民国家のリアリズム/KADOKAWA
国民国家のリアリズム
著 者:三浦 瑠麗、猪瀬 直樹
出版社:KADOKAWA
以下のオンライン書店でご購入できます
戦争・天皇・国家 近代化150年を問いなおす /KADOKAWA
戦争・天皇・国家 近代化150年を問いなおす
著 者:猪瀬 直樹、田原 総一朗
出版社:KADOKAWA
以下のオンライン書店でご購入できます
2017年11月3日 新聞掲載(第3213号)
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