柴田瞳『月は燃え出しそうなオレンジ』(2004) つぼ八のネオン目指して歩くのだ失恋直前戦隊レッド|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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現代短歌むしめがね
2017年11月14日

つぼ八のネオン目指して歩くのだ失恋直前戦隊レッド
柴田瞳『月は燃え出しそうなオレンジ』(2004)

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パロディというのは「お約束」が多い元ネタであるほどやりやすい。仮面ライダーよりスーパー戦隊もののパロディの方が多いのも、「レッドはリーダー」「ピンクは女性」「敵が巨大化してロボットが出動」などといったお約束のかたまりみたいな構造になっているからだろう。ご当地ヒーローもスーパー戦隊を模したものばかりだ。「ピンクなのに男」「敵が巨大化する前にロボットを出動させて踏み潰す」みたいに既成のお約束を裏切るだけでギャグになるのだから、笑いをめざしたパロディとしてはちょっと程度が低いような気もしなくはないのだけれど。

そして短歌にもスーパー戦隊もののパロディを使ったものがある。それも「失恋直前戦隊」というとてつもなく情けなさそうな戦隊だ。「失恋直後」でないところがミソ。失恋直後にやけ酒をしに居酒屋に行くのだったら、普通の話になってしまう。失恋することがほぼ確定してしまった状態で酒に頼ろうとしている姿の方が悲哀たっぷりで面白いのである。しかもメインを張ってリーダーシップを取るはずのレッドが。まあ、すでに少し酒が入ってしまっているので顔がレッドなのかもしれないけれど。

それにしても「失恋直前戦隊」の他のメンバーはどうしているんだろう。一緒につぼ八に行くのだろうか。でも戦隊のコンセプトからすると全員「失恋直前」のはずなんだよな。なんてもの悲しい飲み会なんだ。どんな決めポーズなんだろうなあ、失恋直前戦隊。

2017年11月10日 新聞掲載(第3214号)
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