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2016年8月26日

デザインに悲しみは盛れるか

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造形と色彩の詩人と言われた山城隆一先生の名句である。1960年代の混沌としたデザイン業界、いや広告宣伝業界と言ってもいいだろう。その業界人に向かっての大いなるメッセージだった。「悲しみてなんや」と一笑にふされた一面もあれば、ボクたち若者は刺激を受け新しい時代をそのフレーズから感じたものだ。桑沢デザイン研究所で田中光先生に出会い、先生の紹介で早川良雄先生のところで見習ったボクとしては、デザインの道を志して三人目の先生にあたるのが日本デザインセンターに入社した時の上司、山城隆一先生ということになる。デザインの世界での三大巨匠である「桑」の早川、「剛」の田中、「軟」の山城、とお三方について勉強が出来たボクは幸せものだ。

思えば田中一光先生には桑沢デザイン研究所で、早川良雄先生には在学中の実習の折、デザインの何たるかを知る為の技術的なこと(色・線・カタチ)の基礎を反復練習した。その鍛錬、訓練のお陰でデザイン作業を自律的に遂行できるようになった。デザイン作業を分析・改善・改良出来るようになったのは、日本デザインセンターに入社し、山城隆一先生の下についた時だと実感する。デザイナーとして半人前から一人前になったということだ。それまでにほぼ十年はかかった。それからデザインのカタチを模索、黒田征太郎と二人してケイツーを設立した。あらたなるデザインの技術、知識を開発出来るようになるのに、これまた日々の研鍛だ。あちらこちらで語られている「守」、「破」、「離」と見事に符丁が合う。ケイツー設立後あと3年で50年となる。この道はまだまだ遙か遠く続きそうだ。
2016年8月26日 新聞掲載(第3154号)
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