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八重山暮らし
2017年11月14日

八重山暮らし⑰

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小浜島のクンズンの着尺と島の藍(ナンバンコマツナギ)で染めた糸。
(撮影=大森一也)
八重山の藍


島に数多ある植物のなかで八重山の藍がとりわけ好きだ。薄紅色の可憐な花は秋に似合う。ブーゲンビレアやハイビスカスといった明るい南国の花とは違う、たおやかな風情がある。

このマメ科の植物は竹富島や小浜島で古くは「シマアイ」と呼ばれていたという。仰ぎ見るほどに生長し、枝に小さな葉をびっしりと茂らせる。根を地中深くに張り、台風にもつよい。

その葉を収穫すれば藍染めができる。家庭の主婦が家事の合間に藍を建て、糸を染めてきた。内地の紺屋のような専門業者を頼るのではない。それが素敵だ。
「恵まれた土地を残してくれた先人に感謝したい。シマアイは島の宝だから…。絶やしてはなりません」

小浜島に暮らす年かさの知人は藍畑に佇み、静かに腰を伸ばす。
「小浜の藍を石垣島や沖縄本島の方は『クモーアイ(小浜藍)』と呼びます。『クモーアイは特別に良く染まる』と、みなさんが感心しています」

藍を和名で呼ばず、島の言葉で語り合う人びとがいる。素敵なことだ。
「今も、人生の晴れの日に着けるクンズンを織っています。紺地の着物です。シマアイで染めました。織り仕事は暮らしの一部でなく暮らしの全部なんです」

知人の織機には、こっくりと深い藍色に染めあがった糸が掛かっていた。

2017年11月10日 新聞掲載(第3214号)
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