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2017年11月17日

第70回野間文芸賞 第55回野間児童文芸賞 第39回野間文芸新人賞 決定

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左から、高橋氏、今村氏、髙村氏、山本氏
11月10日、第70回野間文芸賞、第55回野間児童文芸賞、第39回野間文芸新人賞が発表され、都内で受賞者の会見が行われた。受賞作品は野間文芸賞が髙村薫氏の『土の記』(上・下、新潮社)、児童文芸賞が山本悦子氏の『神隠しの教室』(童心社)、新人賞が今村夏子氏の『星の子』(朝日新聞出版)と高橋弘希氏の『日曜日の人々(サンデー・ピープル)』(講談社)。
土の記 上(髙村 薫)新潮社
土の記 上
髙村 薫
新潮社
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会見で髙村氏は、「途中から純文学に転向した人間なので、まだこの世界に居ていいのかどうかという迷いも常日頃からあるので、突然賞をいただけるという連絡をいただき、驚きのほうが大きかった。この文学の世界に居てもいいのだというお墨付きをいただいたようで、ああ良かったなと心からほっとしている。自分が何を書くかというのは、頭の中で意思するというより、時代の空気や社会の空気など、外からやってくることが大半だ。私が経験した二度の大震災を経て、世界の中にいる自分の感覚が本当に変わったというのを痛感した。世間を見る自分の目が変われば書くものも当然変わる。世界が変わったから、もの書きである私も変わったということだと思う。二つの震災を経て、生きていることの喜びが自分の中に満ちていくのを感じ、たったそれだけのことを小説にしたいと思った。大きな事件や出来事、恋愛など何もなくていい。ただ生きていることが愛しい、そういう小説を書きたいという気持ちが外から私にやってきたのだと思う。それまで斜に構えて懐疑とともに生きていたのが、180度の転換が起こって、生きている喜びを言葉にしたいと思うようになった。それが今の私を動かしていると思う。それは私があえて歩み寄ったのではなく、命の方から私に言葉を紡ぐようにという力がやってきたのだと思っている」と語った。

神隠しの教室(山本 悦子)童心社
神隠しの教室
山本 悦子
童心社
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山本氏は作品について、「私は子どもってすごい力があるのではないか、というよりも子どもの力を信じたいというのがあって、それをお話の中に活かせたらいいなと思い、ここでは子どもの力と大人の無力さみたいなものを書き込んでみた」と話し、受賞については、「この賞は児童文学を書いている者ならみんなが憧れるすごい賞で、そんな賞を自分がいただけるなんて本当に夢のようだ。自分の人生にこんなにも輝ける瞬間が来るなどとは思いもしなかった。」と喜びを語った。
星の子(今村 夏子)朝日新聞出版
星の子
今村 夏子
朝日新聞出版
  • オンライン書店で買う
今村氏は「以前に賞をいただいた時は、不安だとか、貰ったはいいがこれからどうしようということしかなかったが、今回は本当に嬉しいという喜びしかない」と、心からの笑顔で受賞の喜びを口にし、長いブランクから再び書き始めた小説については「褒められたら嬉しいが、どんな読まれ方をしても、それは違うとかその通りだとか言った気持ちに私の心が動くことはなく、どう言われても特に感想は持たない。以前はもう書けないと思って落ち込んだのだが、今は書けなくてももう落ち込むことはない」と話し、作家としての強さを垣間見せた。
高橋氏は「評価していただいたということで大変ありがたく思う。受賞してよかったなという感じはあるが、これで自分が変わっていくことは別にないと思う」と、受賞についての感想を述べたあと、今回の作品とそれ以外の作品でも死が扱われていることについての質問に対して「今回の作品世界は2003年ぐらいで、その頃にわりと身の回りでよく起きていたことに着想を得て書いたものだった。死というテーマを扱っていると言われるが、書いているうちに毎回そうなっていくだけで、別に狙っているわけではないので、なぜそうなるかは僕にもわからない」と答えた。

賞の贈呈式は12月17日に東京都内で行われる。
この記事の中でご紹介した本
土の記 上/新潮社
土の記 上
著 者:髙村 薫
出版社:新潮社
以下のオンライン書店でご購入できます
星の子/朝日新聞出版
星の子
著 者:今村 夏子
出版社:朝日新聞出版
以下のオンライン書店でご購入できます
神隠しの教室/童心社
神隠しの教室
著 者:山本 悦子
出版社:童心社
以下のオンライン書店でご購入できます
日曜日の人々(サンデー・ピープル)/講談社
日曜日の人々(サンデー・ピープル)
著 者:高橋 弘希
出版社:講談社
以下のオンライン書店でご購入できます
2017年11月17日 新聞掲載(第3215号)
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