第7回 アガサ・クリスティー賞 第5回 ハヤカワSFコンテスト 贈賞式開催|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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2017年12月1日

第7回 アガサ・クリスティー賞 第5回 ハヤカワSFコンテスト 贈賞式開催

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左より、日野氏、村木氏、津久井氏
11月22日、東京都内で第7回アガサ・クリスティー賞と、第5回ハヤカワSFコンテストの贈賞式が行われた。アガサ・クリスティー賞は、大賞に村木美涼氏の『窓から見える最初のもの』、優秀賞に日野真人氏の『殺生関白の蜘蛛』、SFコンテストは津久井五月氏の『コルヌトピア』と樋口恭介氏の『構造素子』の二作に大賞が贈られた。
殺生関白の蜘蛛(日野 真人)早川書房
殺生関白の蜘蛛
日野 真人
早川書房
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選考委員代表の挨拶で、クリスティー賞選考委員の藤田宜永氏は「優秀賞の日野さんの作品は、候補作の中で一番完成度が高く、綻びがない安定感がある作品だった。時代物だがちゃんとミステリになっていて読み応えもあった。僕は、この人は随分書き慣れている人ではないかと思ったのだが、選考が終わってから他にも賞を取られていて、作品も出されているプロの方なんだということを聞いて、僕の感も外れてないなと思った。それゆえに実力もあり、優秀賞になるのは当然だと思う。
大賞の村木さんの作品は、僕が最初に惹かれたのはタイトルだった。ミステリならもう少しこれみよがしのタイトルがつくのだが、そうではなくフラットな感じで、内容もどちらかというとフラットであまり盛り上がりがあるようなものではない。だが、見知らぬ男女四人の日常が視点を変えて交錯するさまが丁寧に描写されていて、そこにあまり作為を感じさせずに自然体で流れていく。派手ではないが、こういう小説が日の目を見てもいいと感じてこの作品を推した」とそれぞれの受賞作について語った。
コルヌトピア(津久井 五月)早川書房
コルヌトピア
津久井 五月
早川書房
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SFコンテスト選考委員の東浩紀氏は「津久井さんの作品は、植物サイバーパンクとでも言うべき全く新しい世界観を出している小説で、冒頭からきわめて魅力的なビジョンが出てくる。文体も大変素晴らしく繊細で、それが内容とも一致して、おそらくSFを読み慣れない方にも説得力ある作品となっているのではないかと思う。作者は建築を選考されていることもあって、植物に覆われた東京の描写が大変魅力的で、都市論や建築論の観点からもかなり面白い。この世界設定でぜひ次作、次次作と書いて欲しい。樋口さんの作品は、ストーリーを要約するのがとても難しい、かなり込み入ったメタフィクションだが、最近流行りのSFの言葉で言えば「シンギュラリティもの」で仕掛けがたくさんある。
構造素子(樋口 恭介)早川書房
構造素子
樋口 恭介
早川書房
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会場で配られたリーフレットの中の受賞者の言葉で、樋口さんは「受賞した私がここにいて、受賞しなかった私はここにはいない。私はそれを不思議だと思うが、それ以上に幸福なことだとも思う。」と小説の内容をまさにひと言で要約したような素晴らしい言葉を書いているが、さらに素晴らしいのは、樋口さんは今日ここにいない(笑)。作品を現実の中に完結させるメタフィッジック的な仕掛けを最後まで貫く大型新人が出てきた感じだ」と評した。

その後、各受賞者による挨拶(東氏の言葉にあるように、樋口氏は都合により欠席)が行われ、それぞれが受賞の喜びと感謝を述べて、会は祝賀会へと移行した。

この記事の中でご紹介した本
窓から見える最初のもの/早川書房
窓から見える最初のもの
著 者:村木 美涼
出版社:早川書房
以下のオンライン書店でご購入できます
殺生関白の蜘蛛/早川書房
殺生関白の蜘蛛
著 者:日野 真人
出版社:早川書房
以下のオンライン書店でご購入できます
コルヌトピア/早川書房
コルヌトピア
著 者:津久井 五月
出版社:早川書房
以下のオンライン書店でご購入できます
構造素子/早川書房
構造素子
著 者:樋口 恭介
出版社:早川書房
以下のオンライン書店でご購入できます
2017年12月1日 新聞掲載(第3217号)
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