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漢字点心
2017年12月12日

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諏訪原研『漢詩から読み解く西郷隆盛のこころ』(大修館書店)を読んでいたら、気になる漢字に出会った。「田猟(でんりょう)」と題する、狩猟をうたった西郷の漢詩の冒頭に、「銃を提げ獒(ごう)を携へて敵を攻むるがごとく」とある、その「獒」である。

漢和辞典でこの漢字を調べると、「おおいぬ」と訓読みする、と書いてある。つまりは「大きな犬」を指すわけだが、大きければなんでもいい、というわけではない。一世紀の終わりごろに作られた漢字の辞書、『説文解字(せつもんかいじ)』では、「犬にして、人の心の如く使うべき者」と説明してある。人間の命令通りに動くように訓練された、しかも体格のいい犬でなければいけないわけで、猟犬を表すにはぴったりの漢字なのだ。

こういう漢字をうまく使いこなしている西郷の教養は、なかなかのもの。例の上野公園で西郷さんの銅像が連れている犬はやや小ぶりだが、これからは見る目が少し変わりそうである。
2017年12月8日 新聞掲載(第3218号)
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