第17回 石橋湛山記念 早稲田ジャーナリズム大賞 授賞式開催|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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2017年12月15日

第17回 石橋湛山記念 早稲田ジャーナリズム大賞 授賞式開催

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左より、三村氏、坂本氏、林氏、島袋氏
11月30日、東京都内で第17回石橋湛山記念 早稲田ジャーナリズム大賞の授賞式が行われた。受賞したのは、公共奉仕部門大賞がNHKスペシャル「ある文民警察官の死」取材班代表・三村忠史氏、草の根民主主義部門大賞が西日本新聞「新 移民時代」取材班代表・坂本信博氏、文化貢献部門大賞が『ヤズディの祈り』(赤々舎)の写真家・林典子氏、公共奉仕部門奨励賞が琉球朝日放送「枯葉剤を浴びた島2」取材班代表・島袋夏子氏の各氏。

受賞者の挨拶で三村氏は「この企画は文民警察隊の隊長を務められた山崎さんという方の、現地で書かれた手記を提供していただいたことがきっかけだった。この事実を世に知らしめて欲しいという熱い思いを受けて取材を進めてきたが、この番組を企画制作している時は、国内外でフェイクニュースが蔓延しているときでもあり、我々は党派性に与することもなく、事実を持って事実を語らしめることに徹しようと思いつつ制作してきた。文民警察官の死は、この23年間ほぼ検証されることもなく忘れられていった。我々も報道の仕事をする中で忘れてはならないことを積み残しているのではないかと、番組を作りながら反省させられた」と述べた。

坂本氏は「人手不足の日本では、事実上の労働移民と言っていいような技能実習生や留学生が日本経済を支えている。実は日本は世界第五位の移民流入国なのだが、一方で政府はそうした労働移民の存在を見て見ぬふりをして、彼らを生活者として捉える視点がまったく欠けている。こうしたひずみを追いながら、どうすれば共生の道を探れるかを探った一年だった。外国人に優しい社会は、他者に寛容な社会と常に繋がると考えている。ジャーナリストには手遅れになる前に知らせる義務があると思っている。他人の不幸の上に自分の幸福を築くことはしないという視点で、小さな声に耳を澄ませ、見えにくいものに目を凝らし、それを社会に伝えるという使命を果たしていきたい」と語った。

林氏は「この写真集はシリアとイラクの国境沿いにあるシンガル山の麓で暮らしていたヤズディという少数民族の人々が、2014年8月にISによって故郷を追われたあと、どのような暮らしをしているかを追ったものだ。世界中のメディアが取材し、ヤズディの人々自身も今目の前で起きていることをSNSなどに投稿することが当たり前の時代の中で、私は彼らが大事にしてきた土地や物、思い出の写真といったものを写真に撮ったり、証言を聞いて文章にまとめることで、彼ら一人一人の存在を伝えたいと思った。日本ではフリーランスのフォトジャーナリストは本当に少なく、私自身もなかなか安定しない中でここまで続けてきて、これからもどうなるか分からないのだが、この賞を励みにこれからも取材を続けていきたい」と話した。

島袋氏は「この9月に亡くなった父は、鉄血勤皇隊という少年兵だったのだが、その父の遺言が沖縄の歴史や差別を受けた自分たちの体験を伝えてほしいというものだった。今回の番組でテーマにしたのは、沖縄が一体何を押し付けられてきたのかということだと思っている。土の中から出てきたダイオキシンや有害物質が、一体何の目的で、誰がどのようなかたちで遺棄したのかを証明するのは途方もなく大変な作業で、今でもグレーゾーンの部分もある。無機質で数字の羅列のような報告書を読むという途方もない作業に明け暮れる毎日だったが、ジャーナリストとしてこれを読んでいくことが、沖縄の社会を大きく変えるための一翼になるのではないかと思いつつ番組制作を続けてきた。これからも心折れること無く番組作りに励んでいきたい」と述べた。
2017年12月15日 新聞掲載(第3219号)
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