フラワーしげる『ビットとデシベル』(2015) ついに店の金に手をつけた夜うしろから声がしてぼくだよのび太くん|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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現代短歌むしめがね
2017年12月19日

ついに店の金に手をつけた夜うしろから声がしてぼくだよのび太くん
フラワーしげる『ビットとデシベル』(2015)

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パロディというのは当然ながらよりたくさんの人が知っているものほど成立しやすく、だからこそポップカルチャーにそのネタ元が求められることが多い。それは短歌であっても例外ではない。現代の日本では特に、漫画やアニメに題を求めた短歌がずいぶんと増えてきている。その中でもドラえもんが引用された短歌はやたらと多いのだが、枡野浩一編『ドラえもん短歌』という一冊まるまるドラえもんネタの本があるせいだろう。実は私はドラえもんをほとんど知らないので(大山のぶ代の声が魔女みたいで怖かったのでほとんど観ようとしなかった)引用されてもわからないことが多々あるのだが、断片的な情報だけでもだいたい大枠がつかめるのは子ども向け漫画のシンプルさのおかげだろうか。

「ついに店の金に手をつけた」のは成長したのび太ということなのだろう。どんな転落人生があったのかは想像しきれないが、久しぶりに後ろから現われたドラえもんの声はかつての優しさを失った死神のような声として響いたことだろう。

この歌が収録されている歌集『ビットとデシベル』は、短歌という詩型自体を批評的に扱っているかのように大幅な字余り・字足らずが多く、それにもかかわらず短歌としかいいようのない流れるようなリズムがある。〈ここから先の歌はくだらないので読む必要はない〉なんてメタ的な「短歌」も入っていたりする、なんともポストモダン文学的な歌集である。
この記事の中でご紹介した本
ビットとデシベル/書肆侃侃房
ビットとデシベル
著 者:フラワーしげる
出版社:書肆侃侃房
以下のオンライン書店でご購入できます
2017年12月15日 新聞掲載(第3219号)
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