第39回角川源義賞、第15回角川財 団学芸賞、第4回城山三郎賞 贈呈式|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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2017年12月29日

第39回角川源義賞、第15回角川財 団学芸賞、第4回城山三郎賞 贈呈式

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前列右から上原兼善、佐々木孝浩、角川歴彦、松居竜五の各氏。他各賞の選考委員一同
12月13日、東京・飯田橋のホテルメトロポリタンエドモントで第39回角川源義賞、第15回角川財団学芸賞、第4回城山三郎賞の贈呈式が行われた。

角川源義賞は文学研究部門に佐々木孝浩著『日本古典書誌学論』(笠間書院)、歴史研究部門は上原兼善著『近世琉球貿易史の研究』(岩田書院)、角川財団学芸賞は松居竜五著『南方熊楠 複眼の学問構想』(慶應義塾大学出版会)がそれぞれ選ばれた。(今回城山三郎賞は該当作なし)各賞の贈賞と選評ののちに、受賞した3名が壇上にて受賞のことばを述べた。
佐々木孝浩氏は受賞決定ののち、いただいたお祝いのコメントの中で「これを機会に書誌学的研究方法が広がればいいね」という言葉が多かったと振り返る。続けて「学問の研究は人間が健康を維持するためにバランスよく栄養を摂取することと似ていて、様々な分野の研究をバランスよく取り入れていくことが必要なことだと常々考えており、その中で書誌学研究も広く受け入れられていって欲しいと願います。これまで22年間、慶應義塾大学附属研究所斯道文庫に所属し、研究を続けながら後進の育成に努めてきましたが、残念ながら書誌学研究者として育った若者がいないので、反省もしつつ、これを機に己の研鑽を積むとともに一層後進の育成に携わっていきたいと思います」と語った。
上原兼善氏は出身地沖縄県と角川源義を結びつける『校本 おもろさうし』が当時の沖縄の学生たちに大きな影響を与え、自らもその薫陶を受け、研究者の道に進んだエピソードを披露。「このたびの受賞の対象となった研究は、中央から外れたいわばローカルなテーマです。それ故、過去に角川源義賞を受賞された先生方の研究に比べると見劣りしてしまうかもしれません。それにも関わらず、周縁あるいは僻地の研究に光を当てていただいたのは、沖縄に思いを致し、そして大事に考えていらした角川源義先生の精神を受け継いだ、審査に携わった皆様のご理解があったからだと思います。引退を考えていた矢先にこのような大きな賞をいただいたので、もう少し頑張ってみようかなという気持が沸いてきています」とコメント。
松居竜五氏は修士論文を書いたばかりの頃に和歌山県田辺市にある南方熊楠旧邸に訪れ、蔵に眠る膨大な蔵書類を目の当たりにし、驚きと感動を覚えた経験を述懐する。そして「南方熊楠という人物の実像に迫れば迫るほど、驚嘆させられる存在だと感じています。和歌の知識、伝統的な本草学、博物学を19世紀から20世紀初頭の西洋の近代知を融合させ、独自の世界観を作り上げた。今回の本で私なりに南方熊楠について理解できる部分を書きましたが、これから研究が進めば驚くべき南方熊楠の世界像が浮かんでくることでしょう。今後も研究仲間たちと一緒に研究を発展させていきたいですし、この先は海外の研究者と協力しないと見いだせない領域も出てくると思いますので、国内外問わず、様々な研究者と協力して熊楠の研究を続けていきたいと考えています」と述べた。

今年は角川源義生誕100年記念の節目にあたり、贈呈式後の祝賀会では角川源義の足跡を辿るVTRが上映されるとともに貴重な資料が展示されるなど、盛大に催された。
この記事の中でご紹介した本
南方熊楠  ――複眼の学問構想/慶應義塾大学出版会
南方熊楠 ――複眼の学問構想
著 者:松居 竜五
出版社:慶應義塾大学出版会
以下のオンライン書店でご購入できます
2018年1月5日 新聞掲載(第3221号)
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