闘う文豪とナチス・ドイツ - トーマス・マンの亡命日記 / 池内 紀(中央公論新社)マン、その闘いの軌跡|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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2018年1月8日

マン、その闘いの軌跡

闘う文豪とナチス・ドイツ - トーマス・マンの亡命日記
著 者:池内 紀
出版社:中央公論新社
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古今東西で最も文豪らしい文豪、と言っては言い過ぎでしょうか。ドイツ人作家トーマス・マンは大作『ブッデンブローク家の人々』で若くして名声を獲得。その後も『ヴェニスに死す』『魔の山』などを著し、五十四歳でノーベル文学賞を受賞しました。

しかし、栄光に包まれていたマンの運命は、ナチスの台頭で突如暗転します。体制に批判的だったため国外追放されたマンは、亡命先の米国から、講演やラジオ放送を通じてヒトラー打倒を訴えつづけました。その闘いの軌跡を、ドイツ文学者にしてエッセイストの池内紀さんが、二十年に及ぶ膨大な日記から読み解いたのが本書です。

「こういう原稿があるんですけど」というお話を池内さんから頂いたのは昨年初め。紀伊國屋書店発行の季刊誌『スプリクタ』に、六年の長きにわたって連載されたものです。同社で邦訳の出版が続いていた『トーマス・マン日記』(全十巻!)を、いわば援護射撃する読み物でした。

一読して感銘を受け、ぜひ出版させてほしいと思いました。昨年八月に刊行すると、じわじわ売れて四刷に。

同僚から「なぜ今、トーマス・マン?」と問われ、答えに窮したこともありましたが、結果は予想外の好評で、なぜだろうと首をひねりました。うがった見方をするなら、将来が見通せない不安、国家権力に対する不信など、我々を取り巻く今の状況は、マンが生きた時代と似通っている面が少なくないのかもしれません。
(中公新書編集部)
この記事の中でご紹介した本
闘う文豪とナチス・ドイツ - トーマス・マンの亡命日記 /中央公論新社
闘う文豪とナチス・ドイツ - トーマス・マンの亡命日記
著 者:池内 紀
出版社:中央公論新社
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2018年1月5日 新聞掲載(第3221号)
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