気違い部落周游紀行 / きだみのる(冨山房)日本人の前論理的世界を澄明に活写|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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2018年1月8日

日本人の前論理的世界を澄明に活写

気違い部落周游紀行
著 者:きだみのる
出版社:冨山房
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著者きだみのるは、本名山田吉彦。一八九五年(明治二八年)一月奄美大島の名瀬に生まれ、一九七五年(昭和五〇年)七月死去。

慶応大学を中退し渡欧、パリ大学で“古代社会学”を学び、アテネ・フランセを創立したジョセフ・コットと知合い、モロッコなどを旅した。

帰国後は、アテネ・フランセの教壇に立ちながら、デュルケム、レヴィ=ブリュル、さらに林達夫とファーブル『昆虫記』などを翻訳する。フランス的知性の日本への紹介者のひとりとして、重要な役割を果たした。

戦後一九四六年に「気違い部落周游紀行」を雑誌「世界」に発表、四八年、吾妻書房から単行本として刊行され、毎日出版文化賞を受けた。筆名きだみのるはこのときに初めて用いられた。

敗戦によって日本人は海外に旅することが不可能になった。つまり、国際的閉門になったと思った著者が、住んでいた東京都下の山村の経験を紀行ふうにつづったのがこの「周游紀行」である。

サヴォアの騎士グザヴィェ・ド・メェストルが、閉門になって自分の部屋に蟄居するうちに、その部屋をくわしく観察して書いた『居室周游旅行』があり、それにならって自分が閉じ込められている東京の村のことを書いたのだ。「気違い部落」という誤解されかねない言葉を題名に使ったのは、読者の好奇心をそそるためであった。

(冨山房百科文庫編集部)
この記事の中でご紹介した本
気違い部落周游紀行/冨山房
気違い部落周游紀行
著 者:きだみのる
出版社:冨山房
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2018年1月5日 新聞掲載(第3221号)
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