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漢字点心
2018年1月16日

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『広辞苑』第七版は、本日発売。初版から六〇年以上が過ぎ、なお順調に改訂を重ねているのもすばらしいが、没後五〇年が経っても編者として君臨し続ける新村出(しんむら・いづる)の存在感も、さすがと言うべきだろう。

新村出は、両親が山形にいるときに胎内に宿り、山口に転勤してから生まれた。そこで、「山」を二つ重ねて「出」と命名されたという。

ただ、漢字の成り立ちから言えば、「出」は、「足」を表す「止」と、「囲い」を表す「凵」が組み合わさった形が変形したもの。「囲いの外へと足を運ぶ」ことを表す漢字だから、「山」とは関係がない。にもかかわらず、昔から、「出」の字を「山」を二つ重ねた形に書くことがあって、書道の字典を開くと、その実例をいくつも見つけることができる。

成り立ち的に正しい漢字だけが、「正しい」わけではない。文字とはもともと、ある程度の幅を持って書かれるものなのである。
2018年1月12日 新聞掲載(第3222号)
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