田原総一朗の取材ノート「平成とはどういう時代なのか」|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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田原総一朗の取材ノート
2018年1月23日

平成とはどういう時代なのか

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今年は、平成の最後の年になる。そこで、平成とはどういう時代なのか、あらためて捉えなおしてみたい。

一九八九年、昭和天皇が亡くなった年に、地中海のマルタ島でブッシュ、ゴルバチョフ両首脳の会談が行われた。冷戦が事実上終った。そして、ベルリンの壁が崩壊し、中国では天安門事件が起きた。そして、九一年には湾岸戦争が起きた。

イラクのフセインが軍隊をクウェートに侵攻させて、これに対してアメリカとロシアがイラク軍の追い出しに賛成したのだ。冷戦時代には、アメリカのやろうということに、ロシアはことごとく反対し、ロシアのやろうとすることには、アメリカが全て反対して来たのだが、冷戦が終って、国連安保理で、はじめて両国の意見が一致したのである。NATOは、当然ながら参戦した。そして日本も、当時海部内閣で、幹事長であった小沢一郎は、参加を主張したのだが、野党はもちろん、加藤紘一、野中広務など、自民党内にも反対が多く、結局自衛隊は動かず、一三〇億ドルの金を出すことになった。しかし、このことで世界から批判を浴びて、宮沢内閣ではPKOの派遣が決まった。湾岸戦争が、日本の安全保障を、政府が考える契機となったのである。

そして、宮沢内閣時代にバブルが崩壊し、選挙制度の改革が大きな問題となって、非自民の細川連立政権が誕生した。その後、民主党政権が誕生するなど、いわば五五年体制が崩壊したわけだ。

バブルがはじけて、日本経済の混迷がはじまった。まだ確かなあり方は掴めていない。

民主党内閣では、東電の原発事故も生じた、そして、原発をどうすべきか、国民世論も割れている。

さらに重要な問題は、一九八〇年代にレーガン、サッチャーが、経済のあらゆる規制をなくすことにして、いわゆるグローバリズムの時代となった。ヒト、モノ、カネが国境を越えて、世界市場で活動するようになったのである。ところが、ここへ来て、その矛盾が大きくなった。たとえばアメリカは、人件費が高いので、アメリカの少なからぬ企業が、工場をメキシコやアジアの国々、中国などに移すようになり、デトロイトなどの旧工業地域が、廃墟、つまりラストベルトとなり、白人労働者の多くが職を失ったために、反グローバリズムを打ち上げたト ランプ大統領が誕生し、イギリスもEUを離脱した。そしてヨーロッパ各国では、難民、移民を受け入れないと主張する極右勢力が強まっている。ポストグローバリズムをどう構築すべきか、これが現在の大課題である。(たはら・そういちろう=ドキュメンタリー作家)
2018年1月19日 新聞掲載(第3223号)
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