「もんもん」を共有していただきたい|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」

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編集室から
2016年9月9日

「もんもん」を共有していただきたい

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石井さんに初めてお会いしたのは、二〇一一年四月、石井さんが三・一一の取材から一時帰京し、現地の状況を伝えたトークイベントの場だった。その話の衝撃につぐ衝撃、のうのうと安全な場所で動かずにいる後ろめたさ……それは、その後も石井さんの本や話に触れる度に感じ続けていることだ。紛争地帯、貧民街、被災地、そしてネグレクト。できることなら見ないでおきたいような世界のただ中に飛込み、事実から真実へと掘り進む。何が石井さんを駆り立てるのか……それは、対談相手の歌代さんにとっても気になることだったようだ。
歌代さんは『精子提供―父親を知らない子どもたち』の刊行時、インタビューで初めてお会いした。長い年月、答えのでない問いを、渦中にいる人々とつき合いながら考えていらした。「命の尊厳」を感じることができた、と語っていらした。石井さんの本も歌代さんの本にも答えはなかった。そんな歌代さんと石井さんに、今回対談をしてほしい、と思ったのだった。対談は、大型台風接近の不安の中、思いがけぬ晴天。差し込む秋の光が慰めになるぐらい、いい意味でもんもんとして終った。読者の皆さんにも、この「もんもん」を共有していただきたい、と思う。
2016年9月9日 新聞掲載(第3156号)
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